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「それで?なまえが私に聞きたいことって何なの?」

『あー。それね、あたしの勘違いなのかもしれないんだけどさ』

「うん?」

『蘭、好きな人出来たでしょ?』

「えっ!?」

『やっぱりー。文化祭の準備とかであたしもいっぱいいっぱいだったから中々聞けなかったんだけどさ、夏休み前と工藤くんとの絡みの反応が違ってたから気になってたんだよね』

「そ、それは別になまえに内緒にしてたとかじゃなくて、ね?」

『ん?』

「実は…」


蘭が言うには、あたしが先生の家でお留守番してたり、そのまま夏休みが終わるまで工藤邸でお世話になってたから言うタイミングがなかったらしい。
つまりは間が悪かったってことだ。


『呼んでくれたらいつでも蘭のとこ飛んで行ったのに』

「でも、なんか言いづらくて…ごめん」

『謝らなくていいよ。今話してくれたんだしさ』


それにしても他校の高校生かぁ。
なかなか接点ないよなぁ。
なんて一人で色々考えていたら、今度は園子が身を乗り出して来た。


『なぁに?』

「あんたは新一くんとどうなのよ!?」

『どうって?別に何の変わりもないよ?』

「あんたたち、観客の前でキスしてたじゃない!」

『それは園子が直前で脚本変えたんでしょ?』

「はぁ?何よそれ!」

『あれ?違うの?工藤くんからそう聞いたよ?』


きょとんとしてれば、蘭と園子が顔を見合わせてため息を吐いた。え?何よ?


「でも、キスよ?キス!何か思う所はなかったわけ!?」

『んー…、あの時は工藤くんがきつーく抱き締めて来てたから、苦しい!痛い!ヘルプミー!って思ってて、それどころじゃなかったんだよねぇ』

「あんた…キスをそれどころとか言う?」


いや、だって別にファーストキスって訳でもないし、キスくらいで騒ぐ年じゃ…あぁ、今は騒ぐ年頃なんだっけ?


『でも、あれはお芝居でしょ?あたし、きつく抱き締められ過ぎて台詞も言えない状況だったし』

「…こりゃ新一くん大変だわ」

『何が?』

「あんたは気にしなくていいの」


いや、そんなこと言われても、今の話の流れ上、絶対あたしに関係あるでしょ?

あ、工藤くんと言えば!


『ねぇ、工藤くん、劇の後に結構長い間打ち拉がれてたけど、何かあったの?二人とも何か知ってる?』

「「(なまえにキスしたのが原因だとはさすがに言えない、わよね)」」

『園子?蘭?』

「あれは単なる新一くんの自己嫌悪だから、なまえが気にすることじゃないわよ!」

『自己嫌悪?舞台は好評だったのに?』

「でっしょー?そう思うわよね!?あたしもそう言ったんだけど、新一くん聞く耳持たなくてさ!」

『確かに最後は工藤くんのせいでシナリオ多少変わっちゃったけど、終わりよければってヤツじゃないの?』

「そうそう!あたしもそう思うんだけどさー」

「でも、あの様子じゃ新一しばらく立ち直れないんじゃない?」


そんなに深刻なの?
いや、深刻そうだったけど。


『でも、確か次の土曜日ってサッカー部の練習試合じゃなかったっけ?』

「そうだっけ?」

『そんなのでレギュラー落ちしちゃったら余計に引きずっちゃうんじゃないかなぁ?』

「「(今の新一(くん)にそんなこと気にしてる余裕なんてないと思うけど)」」

『あたし先生の家に行ってみようかなぁ』

「それいいかも!なまえが顔出したら新一も元気になるかもしれないし!」
(別の意味で落ち込むかもしれないけど)

『サッカー部の先輩方にもお世話になったから差し入れ持って行くつもりだったし、土曜日の練習試合に行くのもちょうどいいかな?』

「なまえが応援に行ったら新一くんもいつも通りのプレーが出来るかもしれないしね!」
(先輩方にはからかわれるんでしょうけど)

『うん!そうするよ!』

「「(何か別の問題作って来そうな気がするのはあたしの気のせい?)」」


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