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(番外編)園子side


なんでも今日はなまえに声を掛けられたとかで、いつものカフェに来てたんだけど、なーんか蘭の様子が変なのよねぇ。
そわそわしてるっていうか、落ち着きがないっていうか。


「ちょっと、蘭。一体どうしたのよ?」
「えっ!?」
「なんか変だよ?調子悪い…とかじゃなさそうだけど。もしかして悩みでもあるの?」
「じ、実はね、」
「あっ、でも今日は河野さんも来るんだっけ?後の方がいい?」
「実は今日の集まりって3時からなの!」
「へ?」


思わず店内に掛けられてる時計を見る。
うん、間違いなく今の時間は11時前よね?
今の聞き間違い?


「実、は、園子に聞いて欲しいことがあって早く呼んだの。なまえは河野さんと一緒に来るって言うし」
「で、その話って?」


これだけ蘭が言い淀んでるとこなんて滅多に見ないから、それなりの話なんだろうと思って、あたしも蘭を真剣に見た。


「私、」
「わたし?」
「恋しちゃったかもしれないのっ!」


顔真っ赤にしちゃって俯いてる辺り冗談のつもりじゃないんだろうけど…そんなの皆知ってるわよ?


「違うの!新一じゃなくて」
「はぁっ!?」
「園子、声抑えてっ!」
「あ、ごめん」


新一くんじゃないだぁ?
あんた夏休み入る前まで、新一くんとの仲からかわれたら顔真っ赤にして反論してたじゃない。


「で、どういうことなのよ?」
「あのね、部活で合宿に行った時に知り合った人なんだけど」


蘭の話をまとめると、合宿の手伝いをしてくれてた高校生に恋しちゃったかもしれない、ってことらしい。


「でも、ドキドキしてるのは、女の子で空手やってるなんてカッコイイね、とかそんなこと言われたことなかったからなのかなって思ってたの」
「それで?」
「でもその人のこと考えたり、その人が視界に入ったりすると全然集中出来なくて…。私、今までそんなことなかったからビックリしちゃって」
「つまりは一目惚れしちゃったんだ?」
「園子もそう思う!?」


いや、思うも何も完全にその高校生意識しちゃってんじゃない。


「でもね、優しくて話もちゃんと聞いてくれるし、それで好きになったのかなぁって」
「……」


これって、まさかだけど、


「ねぇ、どっちで好きになったんだと思う?」


やっぱりそうくるのか…。
恋しちゃったかもしれない、じゃなくて一目惚れなのか相手を知って好きになったのかの相談だったのね。


「そんなのどっちだっていいじゃない」
「えっ!?」
「だって、その人のことが好きなのには変わりないんでしょ?」
「たぶん…」
「たぶんって何よ、たぶんって」
「だって、私、新一が好きなんだと思ってた、から」
「でしょうね。それで?」
「それだけ?」
「いいから続き言って」
「うん。あのね、その人に会ったり声が聞こえるだけでドキドキしたりとかするの初めてで」
「うん」
「その人が他の女の子にも優しくしてるのとか見るとちょっと悲しいっていうか寂しくなって」
「うん。それで?」
「こんなこと新一の時にはなかったの!だから!だから…どうしたらいいか分かんなくなっ、ちゃって」
「ちょっと蘭、泣かないでよ」


どうやら蘭は新一くんへの想いとその人への想いが違い過ぎて、混乱しちゃったみたい。
けど、これってどう見たって


「蘭はその高校生に恋しちゃったのよ」
「やっぱり?」
「だから、そんな情けない声出さない。で、新一くんに恋しちゃってると思い込んでたから混乱してるだけよ」
「思い込んでたって?」
「蘭、今まで嫉妬したことあった?」
「え?ない、と思う、けど」
「その高校生が他の女の子に優しくしてるの見て感じたのが嫉妬」
「え?寂しいって感じるのが?」
「だって自分を見て欲しいのに、別の子に気を取られてるから寂しいって感じるんでしょ?」
「そう、なのかな」


どうやらうまく話が飲み込めないらしい。
こうなったら具体例でいくしかないか。


「蘭は新一くんがなまえと一緒にいて寂しいとか思う?」
「え?何で?」
「ね?それが新一くんとその人に対する想いの違い」


うーん、としばらく考えていたけど、そこは納得したのか今度は別の質問が返ってきた。


「じゃあ、今まで新一に感じてたのは?」
「んー…ずっと一緒にいたから、一緒にいるのが当たり前になってたんじゃない?」
「そうだけど」
「で、幼なじみに対する好きと恋愛を一緒にしちゃってた、とか」
「でも、」
「知ってる。新一くんが初恋なんでしょ?だから、さっきのは“今は”の話」
「今、」
「新一くんは幼なじみとして大切で好きなのには変わりないけど、恋じゃなくて、蘭が恋しちゃったのはその高校生なのよ」
「新一のは恋じゃない…か」


立て続けに色々言っちゃったけど、蘭はしっかりと一言一言考えてるみたいだった。
うん、これが蘭のいいとこなんだけど、今回は欠点になっちゃったわね。


「なーんだ。そっか!そうだよね。幼なじみって関係が無くなるわけじゃないもんね!」
「そうそう」
「あー。やっとすっきりしたぁ」


なんて晴れやかに笑う蘭を見てあたしの方がほっとした。
ったく、蘭に新一くん以外の相手で恋愛相談されるなんて思ってもみなかったわ。

やっぱり夏は恋の季節なのかしら?
あたしも恋愛したいっ!!





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