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ロミオとジュリエットの結婚、ロミオの追放処分はハショってその続き。
(いや、だって長いからめんど…いえ、ページの都合です)


『結婚、ですか?』

「そうだ!お前の為に金持ちで、若くて、上品で…ヴェローナのどんな気位の高い娘でも大喜びで承知するような夫を探してやったのだ!」

『でも、ティボルトが亡くなったばかりですし…』

「言い訳は聞かん!どうせモンタギューの息子も死んだのだ!いい加減に目を覚ませ!ジュリエット!!」

『ロミオが…?ロミオが何ですの!?お父様!』

「ふん。モンタギューの息子め、追放先で事故にあったらしいわ。ジュリエットをたぶらかした罰が当たったのだ」

『あぁ…嘘ですわ。ロミオが…ロミオがっ!!』

「結婚式は木曜日だ。きちんとそれまでに心の準備をしておくんだな」

『あ…あ…』

「ジュリエット様…」

『婆や、嘘、よね?ロミオが事故に遇って、なく、なった、なんて…。ねぇ!嘘だと言って頂戴!!』

「ジュリエット様…気を確かにお持ち下さいませ。ロミオ様は…」

『イヤぁあああああ!!!』


――ロミオが事故で亡くなったと聞き、悲しみにくれたジュリエットはロミオと結婚式をあげた教会で昼夜を問わずに泣き暮れました。
そして、そんなジュリエットの元へロミオの友人と名乗る男性が現れたのです。


「あぁ、ロミオの為にこんなに泣いてくれるなんてロミオのヤツも幸せ者だな」

『涙が枯れてくれないのです…。ロミオ様を思うと…。どうして私を置いて行ってしまわれたのですか!ロミオ様ぁっ!!』

「ロミオの元へ行きたいかい?」

『!……ロミオ様の元へ行ける、のですか?』

「この薬を飲めばいい」


――ジュリエットの手に渡された薬は毒薬の入った小瓶でした。


「こいつを全て飲めば直ぐにでもロミオの所へ行けるぜ」


――それだけ言うと、ロミオの友人と名乗る男性は教会から出て行きました。
しばらくその毒薬の入った小瓶を眺めていたジュリエットですが、意を決したように立ち上がるとロミオと二人で誓いを交わした場所へと歩みを進めたのです。
そして、その場で膝をつくと


『あぁ、ロミオ様…。もうロミオ様の瞳は私を映してはくれないのですね。もうロミオ様の唇は私の名を呼んでは下さらないのですね。
もう二度とロミオ様にお逢いすることも叶わないなんて…』


紫色をした液体(毒だって分かりやすいようにしたんだってさ)の入った小瓶を強く握りしめると、客席を見上げて最後の台詞を言った。


『争いのない場所へと一人で旅立ってしまわれたロミオ様…私も直ぐにそちらへ参ります』


ジュリエット!って声が客席のあちこちから聞こえてきた。
けど、聞こえてくるべき下手からの声は聞こえてこない。

本番でもダメだったか。そう思いながら、瓶を開けて中身を飲もうとした時、


「ジュリエーットっ!!!」


どうやら本番では体が動いたらしい工藤くん、もといロミオが走ってあたしの元に来て手にあった小瓶を弾き飛ばすとあたしを力いっぱい抱き締めた。

って、ちょっと待って!
苦しい!工藤くん、締めすぎだからっ!!
これじゃあ台詞が言えな


「良かった…。ジュリエットが無事で、本当に良かった…!」

『ロ、ミオ様…』


更に強く抱き締められた状態で台詞を言うのが無理だと判断したあたしは工藤くんの背中に腕を回した。
ら、更に工藤くんの腕に力が入った!
だから、苦しいんだってば!
ナレーションまだ!!?


「ジュリエット…」

『ロミオ様…』


大分台詞をハショってラストのキスシーン(もどき)を工藤くんがしようとしたから、あたしも瞳を閉じたんだけど、唇に暖かい感触があったかと思ったら、客席から悲鳴のような歓声が上がった。


「よーっし!よくやったっ!!かくして、ロミオとジュリエットは…」


ナレーション役の子からマイクを奪った園子が何か喋ってるのが聞こえたけど、あたしは工藤くんに抱き締められていて、次いでに言うなら頭も固定されていたので未だに身動きの取れない状態だった。





誰か!ヘルプミー!!!



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