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『あぁ、ロミオ』

「僕の名か?今、僕の名を呼んだのだろうか?
あぁ、光り輝く天の使いよ。もう一度口を聞いてくれ!この闇の中憂うあなたの姿はまさしく天使!」

『あぁ、ロミオ。なぜ貴方はロミオなの?仇は貴方のそのお名前だけ。どうかその名を捨てて下さい。そして、その名前の変わりにこの私の全てをお取りになってもらいたい…』

「お言葉通りに致しましょう。ただ一言私を愛しい人と呼んで下さい。そうすれば新しく洗礼を受けたも同じ。今日からはもう私はロミオでは無くなります」

『貴方は誰?そんな夜の闇に紛れて人の秘密を立ち聞くなんて!』


ってかロミオも大胆だよね。
仇だって分かってる家に忍び込むんだから。

いくら一目惚れしたとはいえ、あの恥ずかしい台詞の数々…。
工藤くん、よく噛まずに言えてるなぁ。

練習中は棒読みもいいとこだったのに。
もしかして本番に強いタイプ?


『どうやってこの場所に入ってきたのですか?』

「愛に導かれてやって来ました。あなたがどれ程離れていようと、そこが遥かな海に洗われている広々とした岸辺だとしても、私はあなたという宝石を求めて旅に出るでしょう」


相手が工藤くんで良かった。
工藤くんに真面目な顔してこんな台詞言われてるから、顔赤く出来るけど、他の人だったら本番ってことも忘れて引いちゃったに違いない。
それも、はぁ?何言っちゃってんの?ってくらいのドン引き。


「あぁ、ジュリエット。この庭園を銀色に染めている、あの清らかなる月にかけて私は誓う…」

『いいえ、それはいけません。空の旅路を巡りつつ、夜毎姿を変えるあの月に、あの移り気な月にかけて誓わないで下さい。貴方の愛が月のように変わってしまうのはイヤですもの』

「しかし、私は貴女と愛の誓いを交わしたいのです!」

『私は既に貴方への愛を誓ってしまいました』


歌も含めて延々と5分以上、一人でロミオへの愛を語ってたんだ。
脚本にはないけど、あれをもう一度と言われても困る。

でも改めて考えると、独り言であんだけ愛を叫ぶジュリエットも十分イタイな…。

まぁ、そこは時代的にOKだったって言うことにしとこう。
うん、元々ただの物語だし。


『もしもロミオ様の私への愛が真実のもので、私と結婚したいのでしたら、明日使者を送りますので、その者にお返事をお伝え下さい』

「ジュリエット様!」

『婆や、すぐ戻るわ!ホントにすぐよ!
それではロミオ様、明日の使いは何時にそちらに?』

「それでは9時に」

「ジュリエット様!」

『すぐに行くわ!
ええ、必ず。9時に』


名残惜しいロミオとの別れを演出したいのはいいけど、何度も往復するこっちは大変なのよ?
まぁ、それが出来ちゃうのが恋愛なんでしょうけど。

でも会ったその日に結婚話って…どんだけ?ってツッコミは入れちゃいけないんでしょうね。


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