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「何でみょうじの部屋からオメーが出てくんだよっ!?」

「こら!新一!年上の人に向かって何て物の言い方をするの!」


望月さんに準備をしてもらって、さぁ着替えるだけだと衣装に袖を通していたら、外から賑やかな怒鳴り声が聞こえてきた。
工藤くん、相変わらず望月さんのこと嫌いなんだな。


『ねぇ、工藤くん。着替えたんだけど出てもいい?』


声からしてあたしの部屋の前で繰り広げられているんだろうドタバタ劇に部屋の中から声をかけると、有希子さんから早く出てきて!と催促された。

工藤くん、そんなに暴れてるの?
それなら出たくないんだけどなぁ。なんて思いつつ、扉を開ける。


「あ…」


すると、案の定有希子さんに両腕を羽交い締めにされてる工藤くんが目の前にいてバッチリと目が合ってしまった。
キミ、何やってんの?


「キャーっ!なまえちゃん、かっわいーっ!!」

『ありがとうございます?』

「さぁ、藍那ちゃんが下で待ってるから早く降りましょう!」

「オイっ!俺はムシかよっ!!」

「ほら、新ちゃんも早く降りるわよ?」


ちぇっとまだまだ不服気な工藤くんを引き連れてリビングへと向かえば、望月さんと藍那さんが楽しそうに談笑していた。

望月さん、貴方さっき怒鳴られてたんじゃないんですか?
さすが大人。中学生の小言なんて気にもしていないらしい。


「あら!二人とも似合ってるじゃない!どこかサイズ合わないところとかない?」

『いえ、大丈夫です』


ぺたぺたとあたしの服を一通り触ると、まだ不機嫌顔な工藤くんの服をぺたぺた確認しに藍那さんは行ってしまった。


「有希ちゃん、藍那ちゃん。なまえちゃんのメイク、これでいいかな?」

「「バッチリ!」」

「そっか。それなら良かった」


大人三人の会話にあたしたちが入る隙間もない。

そうか。今日の衣装合わせはメイクの確認も兼ねてたのか。
当日これでいいか第三者の意見が必要だったってわけね。


『工藤くん、いつまでそんな顔してるの?』

「ウッセー」

『有希子さんのやることにイチイチ文句言ってたってこっちが疲れるだけだよ?』

「…」


納得するどころかもっと顔をしかめてしまった工藤くん。
一体あたしにコレをどうしろってんだ。


「新ちゃーん!なまえちゃーん!記念写真撮るわよー!」

『はぃ?』

「だから!なまえちゃんと新ちゃんの衣装が出来た記念写真!!」


きょとんとしてる間にあたしは望月さんに押されて、工藤くんは藍那さんに押されてカメラの前に連れて来られた。

プロ二人に囲まれてるとかスゴいことなんだろうけど、素直に喜べない自分がいる。


「ほら、なまえちゃん笑って?今日はお嬢様だよ?」

『あはは…』


望月さん、残念ながら今日は魔法が掛かってないんです。
隣から冷たいオーラをビシビシ感じてるんで。


「ほら!新ちゃんも笑って笑って!」

「…」


工藤くんから冷たい視線を感じるのは気のせいじゃない、はず。
怖くて確認出来ないけど。


「なぁに?そんなに新一くんはあたしのデザインが気に入らないの?傷つくなぁー」

「あ、いやっ!そういうんじゃなくてですね!」

「じゃあ笑って?有希子さーん、OKでーす!」


軽ーく工藤くんをあしらった藍那さんの合図を元に、4人の集合写真が撮られた。



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