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「良かったわね!なまえちゃん!二人の衣装、作るのに2週間かからないんですって!」


只今よく分からなかったマンションから工藤邸への帰りの車内。
鼻歌まで出ちゃうルンルン気分の有希子さんとは対照的に後部座席は静まり返ってます。

ってか有希子さん、飛び込み依頼で2週間って、どれだけ無茶を言って来たんですか。

工藤邸に車が着くなり、工藤くんに引きずり下ろされたあたしは、そのままずるずると工藤くんの部屋まで連行された。


「どういうことか、ちゃーんと説明してくれるんだよな?」

『…』


瞳は怒っているのに、薄ら笑いを浮かべていらっしゃる工藤くん。
これ、ホントにあたしの知ってる工藤くんですか?

なんか、ものすっごくプレッシャー掛かってるんですけど。


「みょうじ?」

『実は…』


ベッドに座って優雅に足を組んでる工藤くんの足元に正座させられたまま、今日の経緯を洗いざらい話すことになった。
何?この扱い?あたし何も悪くないと思うんですけど。


「はぁ」

『…』


話を聞き終わった工藤くんに、呆れたような疲れを全部吐き出すようなとてつもなく重たいため息を吐かれました。
…あたしがため息吐きたいんですけど。


「オメーなぁ、なんだって園子なんか家に上げたりしたんだよ?」

『だから、現代版にする時用の衣装を確認に来たってさっきも言ったでしょ?』

「母さんの性格考えたら、話に口出すに決まってんだろ?」

『言うと思ったけど、たかが文化祭の衣装なんだから大丈夫だと思ったんだもん』

「普通はそうなんだろうけど、大丈夫じゃねーのがうちの学校なんだよ」


そんなの知るか。
あたしは至って普通なんだい。


「母さんと園子のお調子者が二人揃えばロクなことにならねぇことくらい分からなかったのかよ?」

『ゴメンナサイ』


だって、あんなに息が合うとは思ってなかったんだもん。


「まぁ、済んじまったことグダグダ言っても始まらねぇからもう言わねぇけど」


じゃあ初めから言わないでくれるかな?
あたし結構頑張ってこの重たい空気に耐えてきたんだけど。


「次からは二人を会わせるなよ?もっと下らねぇことやり出すに決まってんだから」

『じゃあ、あたしも言わせてもらうけど』

「んだよ」

『はじめに園子と組んで下らないことしたの工藤くんだよね?』

「はぁ?」

『あの写真!クラスの女のコたちからあたし質問攻めにあったんだけど?』

「…」

『合成だって言っても信じてくれないし、断じてこんなシチュエーションになった覚えはないって言ったら今度はえーって文句言われるし』

「…」

『別に文化祭の盛り上げに使うなら使うで、せめて一言くらいあっても良かったと思うんだけど?』

「…悪かった」


形勢逆転!
さっきまでエラソウだった工藤くんが頭下げた!


『今度はちゃんと断り入れてよね?』

「おう」


話がまとまった所で「二人ともご飯出来たわよー」っていう有希子さんの平和な声が聞こえてきた。


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