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『お邪魔しま「なまえちゃん、いらっしゃーい!!」うわぁっ』


毎回恒例の有希子さんからのボディアタックに耐えきれなくて、そのまま尻餅をついてしまった。
これ、地味に痛い。


「なまえちゃん、大丈夫?」

『あは、大丈夫です。今ちょっと体に力入らないだけで』


有希子さんの手を借りながら、あのワンコを振り切るのに一体どれだけの体力を使ったんだと思った。


「さぁ、上がって?」

『お邪魔します』


玄関でそのやり取りを見ていた工藤くんが顎に手を当てて、何かを考えてるみたいだったけど、あたしが上がるなり「じゃあ行くか」と言われた為に、あたしの部屋へ直行となった。


『でもあたし、ドレスどこにしまってあるのか知らないよ?』

「あー、それは母さんにもう出して貰った」

『じゃあ何であたしの部屋?寧ろあたし何しに来たの?』

「オメーのメイク道具がいるだろうって母さんが言ってたんだけど、どれがいんのか分かんなかったんだよ」

『あー、なるほどね』


えーっと、確かあのドレスの時に使ってたのは、これとこれと


「オメー、今日何があったんだ?」

『ん?何が?』

「何が、じゃねぇよ!電話じゃ息切らしてるわ、いつも平然と受けてる母さんの攻撃に突き飛ばされるわ、絶対何かあっただろ!?」

『あ、そんなことか。気にしなくていいから』


それより有希子さんからのあれを攻撃と受け取ってるキミにビックリだよ。
えーっと、これで全部だったかなぁ?


「もう、新ちゃんたら何大声出してるの?」

『あ、下らないことなんで気にしないで下さい』

「そう?これ、持ち運び用のバッグだから、必要なのこれに詰めてね」

『ありがとうございます』


有希子さんが出て行ってから静かになった工藤くん。
うん、いいことだ。
と全く気にもせずにあたしは作業を続けていた。


『よし、これでOK!』

「…ホントに何でもないんだな?」

『あれ?まだ言ってたの?』

「…」


振り向くと明らかにムスッとした工藤くんがこの部屋に入った時のままに立っていらっしゃいました。

さっきから何を拗ねてるんだ?この人は。


『何?どしたの?』

「いや、何でもないならそれでいい。それ持って降りるから貸せよ」


とあたしからバッグを奪ってすたすたと部屋から出て行ってしまった。
ホントにどうしたんだ?あの子。

その後、工藤邸で楽しくご飯をお呼ばれしてから家に帰った。
約一名全然楽しそうじゃなかった人がいるけど、あれはもうそっとしておこう。
あれから何も言ってこないし。

何でも荷物は明日サッカー部の人たちが手分けして持って行ってくれるらしい。

…どんだけ力入れてるんだよ、あの代表投票。
あー、明日なんて来なければいいのにっ!!



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