結局その後の抵抗も虚しく、園子に写真を強奪された。
何でも2学期の初めに、誰が主役をするのがいいか、みんなで代表出しあって投票するらしい。
それに使うんだとか、マジで辞めて欲しいんだけど。
『ところで劇って何するのよ?』
「え?まだ決まってないわよ?主役決めてから、脚本やりたい子たちが集まって何するか決めるんだから」
何だ、ソレ。
普通何するか決めてから役者決めるんじゃないわけ?
『ねぇ、ヒロインだったら蘭の方が良いって!絶対映えるよ?』
「うん。あたしも蘭推薦するつもりだったんだけど、コレ見て気が変わったの」
そんなとこで気分変えないで!
そのまま蘭推薦してればいいじゃない!
あたし絶対蘭に一票入れるよ!?
「蘭の推薦写真選んでたんだけど、なかなかいいのがなくってさー。そしたら、なまえがこんなちょうどいいもん持って来てくれたから、これで推薦しちゃおうかと思って」
『これから撮ればいいじゃない!』
「でも、私、部活も家事もあるから、なかなか時間取れなくてさ」
『うー…』
それを言われると何も言えない。
何だってこの写真は厄ばっかり招くんだと頭を抱えることしか出来なかった。
「なまえちゃんがヒロインに決まったら、あたしやって欲しい劇があるんだよね!」
「え?何なに?」
「ロミオとジュリエット!」
「あ、確かに似合うかも!」
え?
あたしには悲劇が似合うって?
そんなの嬉しくも何ともないんだけど。
「あら、台本なんて内容変えられるんだから悲劇とは限らないわよ?」
『もう何でもいいけど…あたしがその主役決めるヤツに出場しないって選択肢はないわけ?』
「ないわね。あたし脚本志望だから、楽しみにしといてよ」
『楽しみに出来ない…』
あ、でも待って。
その主役決める投票であたしが選ばれなければ済む話じゃない!?
「大丈夫だよ、なまえちゃん!」
『何が?』
「うちのクラスのもう一人の代表って工藤くんだから、絶対二人が選ばれるって!」
ごめん、明日香。
何が大丈夫なのか全くもって分からないんだけど。
「つまり、新一くんも人気だから二人が選ばれる可能性が高いって話よ」
『ねぇ、工藤くんが相手ならやっぱりヒロイン蘭の方が』
とまた話をぶり返してみようとしたんだけど、もう既にこれからどうするか盛り上がってる3人はあたしの話なんか聞いちゃいなかった。
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