翌日、明日香と待ち合わせていつものカフェに行くと、既に蘭と園子が来ていた。
「なまえ、久しぶりじゃない!」
『本当に皆で集まるの久しぶりだよね!』
「誰かさんがあたしたちに内緒で大阪旅行なんかしてなきゃ、花火大会も皆で会えてたんだけどねー?」
『だから、それはごめんってば!花火大会の日程知らなかったんだから仕方ないじゃない!』
「それより、早くなまえちゃんの写真見ようよ!あたし楽しみにしてたんだから!」
『…そんなに楽しみにしなくていいんだけどね』
「いいからさっさと出しなさいよ」
『はいはい』
この為だけに皆に集まって貰ったのも事実なので、早速問題の封筒を取り出した。
うー…気が重い。
「わぁー!なまえちゃん、お姫様みたいっ!!」
「ホントホントっ!何でこの写真見るのそんなにイヤなの?」
『あはは…はぁ』
皆で飲み物を頼んで、写真を広げると明日香と蘭は楽しそうに次から次へと写真を見ていた。
そんなに楽しいか?コレ。
「ちょっと!何でなまえが朔夜さんと写真撮ってるのよっ!?」
『え?そのヘアメイクしてくれたのも写真撮ってくれたのも望月さんだから』
さすが鈴木財閥のお嬢様。
望月さんをご存知だったらしく、写真を見るなりあたしに詰め寄って来た。
「こんにゃろー。何であんたが朔夜さんと知り合いなのよっ!」
『ちょ、園子ストップ!髪乱れるからっ!!』
「良いからさっさと吐きなさいよっ!」
『有希子さんに紹介して貰っただけだって!』
何とか園子から逃げ出して、髪を整えているとその手があったかと園子がブツブツと唸っていた。
どうやら園子は望月さんのファンだったらしい。
まぁ、あんだけカッコイイ人なんだから、園子がチェックしててもおかしくないんだけどさ。
「ねぇ、園子。秋の文化祭の劇なんだけどさ、なまえにヒロインやってもらったら?」
「あー、それもいいか。これ見たらみんな納得してくれそうだしね」
『ねぇ、何の話?』
あたしの写真を一枚とって、ヒラヒラと振っている園子に声をかける。
何か嫌な予感しかしないんだけど。
「あ、なまえちゃんは知らないかなぁ?文化祭、うちの学年はみんなで劇やるんだよ!」
は?劇?
今初めて聞いたんだけど。
ってか、あたしヒロインなんてやらないわよ?
「残念でしたー。主役はみんなの投票で決まるから、拒否権ないのよ」
『ちょっと、何よソレ!』
「ってことだから、映りのいいの一、ニ枚貰ってくわ。蘭もどれがいいか選んでよ」
「うん!私はこれとか好きだけどなぁ」
『ちょっと待って!ねぇ、明日香も二人止めてよっ!』
「えー、あたしもなまえちゃんのヒロイン見たいからなぁ」
どうやら今日の集まりは完全に裏目に出てしまったらしい。
やっぱりこんな写真なんか持ってくるんじゃなかった!
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