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『ね?蘭、お願い!』

「そのくらい別にいいけど、」

『ホントに!?ありがとう!!』


結局一人で見る勇気がなかったあたしは、その日の夜、蘭に一緒に写真を見てくれないかと頼み込んだ。


「でも意外ー。なまえって写真苦手だったんだ?」

『苦手っていうか嫌い?寧ろ罰ゲームとしか思えない』

「そんなに?」


軽く泣きそうになってるあたしに、電話越しでも蘭が苦笑してるのが分かった。
でも、何が悲しくて自分しか写ってない写真を見なくちゃいけないんだ。


「じゃあさ、明日久しぶりに皆で会わない?」

『皆って?』

「私と園子と河野さん!花火大会の日になまえ誘おうと思ったら大阪行っちゃってたから、海以来会ってないじゃない?」

『あー、そういえばそうだね。うん、明日香にはあたしから連絡しとくから、園子への連絡お願いしていい?』

「うん!分かった!」


それじゃあ、また明日ねって電話を切ってから気がついた事実。
皆に写真を見られる、だと!?

ガクンと落ち込んだけど、一人で見るよりは全然マシだ。
ここは我慢するしかない。

チクショーと泣きたくなってるあたしの部屋に最近お決まりになった来客が現れた。


「よっ!電話終わったか?」

『終わったー…』

「何泣きそうな顔してんだよ」

『こんな写真消えて無くなればいいのにっ!!』


忌々しそうに写真の入った封筒を隅に避けていたら、工藤くんにまで苦笑された。
さっきまで君だってこの写真で喚いていたじゃないか!とツッコミたいところだけど、また機嫌が悪くなられても困るので、そこは黙っておくことにする。


「ホントに写真嫌いなんだな」

『皆で記念に、とかならまだいいんだよ?でも自分一人の写真とか何が悲しくて後生大事に持っとかなきゃいけないのよ』

「せっかくキレイに撮れてんだから、それだって記念だろ?」

『キレイにして貰ったのは嬉しいけど、それとこれとは別なの!記念なら工藤くんたちと4人で撮ったのがあるもん』


あの後渡して貰った工藤家+あたしな記念写真。

それを引き延ばしたヤツを額に入れてリビングに飾ろうとしてた有希子さんはあたしと工藤くんが全力で阻止した為に、結局先生たちの部屋に飾られることになったらしい。


「下で母さんたち未だにみょうじの写真で盛り上がってるぜ?」

『…今日はもう下に降りないからいいもん』


有希子さんのあの性格も仕方ないことだし、先生からしたらあたしの為にドレス一式を選んでくれたんだから、記念写真を喜んでもらえるのは嬉しい。
けど、あたしがその場にいたくないのも事実なので、もう諦めることにした。

写真の話はそこで切り上げて、あたしたち二人は気分転換に夕方読み損ねた小説を読み始めた。


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