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「これはこれは素敵なお姫様になったじゃないか!」


私の見立ては間違ってなかったと破顔一笑で出迎えて下さった工藤優作先生。
は、いいんだけど、後ろの高そうな黒塗りのリムジンは何ですか?


「工藤先生、お久しぶりです。なまえちゃんの荷物はトランクに入れて置きますね」


と言ってる望月さんの手から荷物を恭しく受け取って一礼をした運転手さん。
…誰ですか?


「さぁ、なまえ君。出掛けようか」


とあたしの手を取ってエスコートして下さった先生の行動に無意識に返しながらも、車の扉が締まる音で我に返るまであたしはポカンと呆けていた。


「なまえちゃん、またいつでもおいでね!」

『今日は本当にありがとうございました!』


危ない危ない。
これだけお世話になった望月さんにお礼も言わずに車出されるところだった。
お姫様パワーよりも恐るべし、工藤クオリティっ!!


『ところで今日はドコに行くんですか?』


只今、走行中の車の中、の筈なんですが、何故か飲み物まで提供され、ココは本当に日本なのかとちょっと本気で怪しんでいるところです。


「食事の前にちょっと観劇を、ね」

『劇、ですか?』

「なまえ君、好きだろう?」

『確かに好きですけど…そんな話、先生にしたことありましたっけ?』

「なまえ君のことなら何でも分かるさ」


…先生、普通にちょっと怖いです。

なんて思いつつも、その後は普通に楽しいお喋りが続いた。
何でも今日は劇場の何十周年記念とかに先生がお呼ばれしているとかで…


『って、そんな凄いご招待なら有希子さんと行って下さいっ!!』

「有希子は有希子で呼ばれているからね。今頃は息子と一緒に行っているさ」

『あれ?それじゃあ、ご夕食はまた4人で食べるんですか?』

「いや?今日のディナーは私となまえ君の二人きりだよ」


先生、さっきから思ってたんですが、今日はヤケにリアクションが大きいですよ?


「綺麗なお姫様が隣にいるから、年甲斐もなくハシャイでしまったかな?」


大丈夫です。先生はまだまだお若いですよ。
中1のあたしを置いていけるテンションなんですから。

そんなことを心の奥底で思いつつ、これだけテンションの高い先生に有希子さんまでプラスされたら、工藤くんがかなり哀れだな、なんて他人事のように考えていた。



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