しばらくして泣き止んだ蘭の涙をハンカチでそっと拭って、頭を撫でる。
どうやら一頻り泣いて感情の高ぶりは収まったらしい。
「ごめんね?急に泣いちゃって」
『あたしもごめんね?変な話しちゃってさ』
「ううん、いいの。なまえって自分のこと全然話してくれないから嬉しかったし」
そう言って、瞳に溜まっていた涙を指で拭いながら蘭が笑った。
『よく言われるけど、あたしってそんなに自分のこと話さないかなぁ?蘭たちには結構話してるつもりなんだけど』
「ホントに?新一のお父さんよりも?」
『うん。先生はあんまりそういうの聞いてこないからさ。夢の話は泣いてるのがバレちゃった時に話したけどね』
「なんか意外。新一のお父さんには何でも話してるんだと思ってた」
『何よそれ?』
「だって、本当にすっごく仲がいいんだもん!」
周りから見てあたしと先生って一体どんな風に見えてるんだ。
『それで?この話、工藤くんに報告するの?』
「えっ?」
『あれ?蘭があたしから聞き出して工藤くんに報告するって話になってたんじゃないの?』
てっきりそうだと思ってたので、不思議に思って尋ねると、なまえには敵わないなぁって今朝の約束のことを話してくれた。
うん、そんなことだろうと思ったよ。
名探偵も分かり易いことするなぁ。
「でも勘違いしないでね?新一の為じゃなくって、なまえが泣いてたって聞いて心配になっただけだから!」
『そんなに力説しなくても分かってるよ』
たぶん工藤くんはそれ聞いて、自分で聞く手間が省けたとか思ってるとは思うけど。
「あ、でもなまえが言わないで欲しいんなら、私言わないよ?」
『ううん。言ってくれていいよ。あたしも工藤くんに心配かけたままじゃいけないなぁって思ってたの』
まぁ、つまりはお互い蘭を通して話をしてるわけだから、お互い様ってわけだ。
これで工藤くんの心配もなくなって一石二鳥だろう。
なんて考えながら、蘭がついでにうちでご飯食べて行ってよって誘うので、晩御飯をお呼ばれしてから帰ることにした。
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