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『それで今日はどうしたの?』


蘭の部屋まで来たのは良いけれど、飲み物を持って来た途端に視線をさ迷わせてしまった蘭にこちらから話を振ってみた。


『何か話があって呼んだんでしょ?』


どうやって話を切り出そうか迷っていた蘭は、あたしの言葉を聞いて驚いた様に目を丸くしたけど、それだけ挙動不審になってたら誰でも分かるって。

そう思いながら、蘭から話し出してくれるのを待っていたら、しばらく考えるように俯いた後、がばっと顔を上げてまっすぐにあたしを見つめてきた。


「なまえ、正直に話してくれる?」

『内容によるけど、あたし、蘭にはいつも正直に話してると思うよ?』

「話はぐらかしたりしない?」

『うん、分かった。はぐらかしたりしない』


真剣な表情の蘭に、あたしも真剣に答えるつもりで身構えていたんだけど、


「昨日、新一に泣かされたの?」

『…は?』


あまりにも真剣に発せられた言葉の意味がわからなくて、きょとんとしてしまった。


「新一に泣かされたんならそう言って!私がなまえの代わりに新一ボッコボコにしてあげるから!」

『ちょっと待って。何でそういう話になってるのか、あたし全然分からないんだけど?』


とりあえず興奮し始めた蘭を落ち着かせて話を聞いてみると、今朝一緒になった時に、昨日あたしが泣いてたという話を工藤くんから聞いたらしい。

でも、何をどうしたらあたしが工藤くんに泣かされたって話になったんだろう?


「ほら、なまえって新一の家に行く時、いっつも新一のこと気にしてたじゃない?」

『え?そりゃあ特別仲が良いってわけでもないクラスメートがちょくちょく自分の家に来てるとか、気持ちいいもんじゃないだろうなって思ってたけど…それが何?』

「だから、新一が“もう家に来るんじゃねーよ!”とか色々ヒドイこと言ったのかなって」

『……』


蘭、それはさすがに話が飛躍し過ぎてると思うよ?
工藤くんがそんなこと言うかどうかくらい、幼なじみの蘭が分からないわけないと思うんだけど…。


「でも新一ってカッとなったら後先考えないから」


なんて言われてしまったらフォローが出来なくなってしまった。

ごめん、工藤くん。これから冷静沈着目指して、蘭のこの言葉自分の行動で撤回させてね、と心の中で呟いてみる。

とりあえず、工藤くんの濡れ衣を何とかする為にも本当のことを話すとしますか。

ちょっと気が重いけど……。


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