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どうしてあんな夢を見たんだろう?
最近は見ることなかったのに。と、まだぼーっとする頭で考えていると、部屋の扉をノックされた。


『先生…?』

「みょうじ、まだ起きてんなら…ってオメーどうしたんだよ!?」


先生が戻って来たんだろうとばかり思ってたら、入ってきたのは工藤くんで、慌てた様子の彼にそういえばまだ涙を拭っていなかったんだっけと急いで服を顔に押し付けた。
そんなことしたって後の祭りなんだけど。


『大丈夫だよ。それよりどうしたの?』

「大丈夫ってオメー…」

「新一。こんな時間にレディの部屋を訪れるとは関心しないな」


心配そうな表情で、近づくに近づけないでいる彼にどうしたものかと考えていたら、ちょうど先生が帰ってきて、工藤くんを部屋の外へと追い出してくれた。
渋ってた彼は、きっとすごく心配してくれてるんだろうけど、どうしたらいいのかまだ頭が回らない。


『先生、ありがとうございます』


そっと差し出された珈琲を受け取って一口含むと、その温かさが全部を包み込んでくれたように強ばってた身体から力が抜けた。


『先生、今日はホントに重ね重ねすみませんでした。あたしのせいで旅行の予定を早めていただいた上に、こんなことまでご迷惑をおかけしてしまって…』

「そんなことは気にしなくていいんだよ。それよりすまないね。君を一人にしないと言ったのに、なまえ君を誰もいないこの家に置いてけぼりにしてしまった」

『いいんです。たった1週間もお留守番出来ないあたしがいけないんですから』


苦笑い気味に返すと、先生は何やら考え込んでいるようだったけれど、結局何かを質問されることもなく、あたしが落ち着くまで当たり障りのない普通のお喋りに付き合ってくれた。

明日工藤くんにもちゃんと謝らなきゃと思っていたのに、工藤くんは朝から部活だったらしく、昼近くまでぐっすりと寝ていたあたしは工藤くんに会わないままに工藤邸を後にした。



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