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一旦あたしの部屋に戻ったんだけど、昨日あまり寝ていなかったせいか、さっきまで楽しい時間を過ごしていたせいか、急に眠気がやって来てしまってそのままふかふかのベッドへと倒れ込んだ。

きっと昨日落ち込んでたのに今日はしゃいじゃったからテンションの差で疲れちゃったんだ。
そんなことを思いながら、重たくなってきた瞳を閉じた。


――
―――…
――――…


あー、先生とあたしがいる。
何かあたし楽しそうに喋ってるな。
先生と話してる時って、いつもこんな顔してんのかな?

有希子さんと工藤くんも加わって四人で話していて。

あー、まるで今日のお食事みたいだと思っていたら、工藤くんが急にどこか行っちゃって…あれ?

有希子さんも急に笑わなくなっちゃって、忌々しそうに眉を寄せたかと思うと、今まで見たこともない冷たい眼差しであたしを一瞥して、あたしの存在を拒絶するように背を向けてどこかへと去って行ってしまった。


何これ?
夢、だよね?

すがる様に先生を見たけど、先生はあたしを見てはくれなかった。


イヤ、です。
先生、こっちを向いて下さい。

いつもみたいに優しく微笑んで下さい。
そしたら、全部夢だって安心出来るから。

去って行く先生に手を伸ばすけど、あたしはどんなに走っても先生に近づくことすら出来なかった。


イヤ、です。
あたしを置いていかないって、傍にいて下さるって言ったじゃないですか…

膝をついたあたしは止めどなく溢れてくる涙を拭うことすら頭に浮かばないくらい、先生にも見捨てられたんだという絶望感だけがあたしを支配していた。


このままあの時のようにあたしも漆黒に塗り潰されて消えて往くんだと思っていたら、急に体を揺さぶられる感覚と共に覚醒した。


「なまえ君!」

『あ、れ?先生…?』

「大丈夫かい?」


目の前には心配そうにしてる先生の顔。

まだ大丈夫だ。
ちゃんと先生はあたしを見てくれている。
その安心感が涙と共に体の外へと零れていった。


『大丈夫です。先生が傍に居て下さいますから』


たぶん泣いてるあたしが何を言っても説得力はないだろうけど、あたしは口元に笑みさえ浮かべて本心を先生に伝えた。

先生があたしをちゃんと見ていてくれている。
それだけで十分だった。


それまであたしが先生の服を握りしめていたことにも気付いてなくて、慌てて手を離した。
その手がさっきの恐怖にまだ小さく震えていたのには、あえて気付かないフリをして。


『すみません…。あたし、今日のお詫びもまだしていなかったのに、重ねて迷惑ばかりかけてしまって…』

「いや、そんなことは気にしなくていい。そうだ、珈琲でも淹れてこよう。温まるから落ち着くだろうしね」


優しく頭を撫でてから、すぐに戻ってくるからと先生はあたしの部屋から出て行った。




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