「キャー!何これ!?可っ愛いーっ!!」
『有希子さん、落ち着いて』
「優作!カメラ持って来てっ!カメラ!!」
夕食も終わって、じゃあデザートをとキッチンに入った途端にケーキを見つけた有希子さんのテンションメーターが振り切れた。
うん、有希子さんならこんな反応してくれるんじゃないかと思って作ったんだけど、想像以上でした。
「へぇー。この前のとはまた違うんだな。これ何?」
『あ、工藤くんも来たんだ?これはラズベリーとレモンのムースだよ』
「オメーってホントに器用だよな」
『そうかな?これは見た目が可愛いから、有希子さんが喜ぶかなぁって思って作っただけなんだけどね』
「で、そっちのはクッキーか?」
『うん。ジャムがサンドしてあるヘーゼルナッツパウダーの入ったクッキー』
「うまそー…一ついただきっ!イッテーっ!」
「新ちゃん!お行儀の悪いことしないのっ!すぐ持って行くから、向こうで待ってなさい」
「ちぇっ。わーったよ」
工藤くんがつまみ食いをしようとした途端に、さっきまで写真を撮ってたはずの有希子さんが工藤くんの手をバシンと叩き落とした。
有希子ママ、さすがです。
「じゃあ私は珈琲を持って行くとするかな」
『いつもありがとうございます』
「いやいや、私もなまえ君のお菓子が楽しみで待っていられなかっただけさ」
なんてことを言いながら、今回も珈琲を淹れて下さった先生。
あたしの作ったお菓子なんかよりも、先生の淹れて下さった珈琲の方があたしは楽しみです。
「これもアルバムに入れなくちゃね!」
『…本当にアルバム作ってたんですね』
「当たり前じゃない!なまえちゃんが毎回美味しいお菓子作ってきてくれるから、あたし楽しみにしてるんだもの!」
そんなことを話しながら、切り分けたケーキを人数分と、お皿にキレイに盛り付けられたクッキーを二人の待つダイニングまで運んだ。
うん、やっぱり同じお菓子は工藤家に持って来れないらしい。
あたしのレパートリーいつまで持つかな?
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