お見送りはしなくていいとの事だったので、お昼過ぎに工藤邸にやってきた。
けど、この広いお屋敷を全部掃除するのかと思うとため息が出た。
軽はずみに了承なんてするもんじゃないな。
時間をかけて、一部屋ずつ掃除をしていると、ふいに携帯が鳴った。
番号通知不可って誰だ?
『もしもし?』
「あ、なまえちゃん?もううちに着いてる?」
『あ、有希子さんですか?番号通知不可ってなってたんで、誰からかと思いましたよ。はい、今掃除の真っ最中です』
「あ、ホントに掃除してくれてたの?そんなの気にしないでゆっくりしててくれたらいいのに!」
『え?』
じゃあ何であたしお留守番任命されたんですか?
「それより、冷蔵庫見てくれた?当分困らないように準備はしてきたんだけど、大丈夫かしら?」
『え?ちょっと待って下さい。これから見に行きますから』
と、冷蔵庫を開けてみると当分というか籠城出来るんじゃないだろうかと思ってしまう程の量がキレイに整頓されて詰められていた。
『大丈夫ですよ。というより、あたし一人なのでこんなに準備して頂かなくても良かったんですけど』
「ごめんなさい。少ないよりは多い方がいいかと思って」
『いえ、大丈夫です。これなら有希子さんたちが帰って来られた時の夕飯もたくさん作れそうなので』
「なまえちゃんがお夕飯作ってくれるの!?」
『あれ?先生から聞いてませんか?帰って来た日のお夕飯作って欲しいってお願いされたのでOKしたんですけど』
「まぁ!優作ったら何にも教えてくれないんだからっ!それなら帰るの早めようかしら?」
『あたしのことは気にせずに家族水入らずでゆっくりして来て下さい』
掃除しなくてもいいって言われちゃったけど、半端に投げ出すのもイヤだったので、それぞれのプライベートルーム以外は簡単に全ての部屋を掃除することにした。
終わった頃にはとっぷりと日が暮れて遅い時間になってしまったけれど。
夕飯の支度をしようと冷蔵庫を開けたら、お肉とかもたくさんあるのを見つけてしまったので、傷まないように先に冷凍庫に入れる為に処理をすることにした。
本当にこれだけの量を買い込むって何人で食べる計算をしたんだろうと思う。
何だか雑務処理をしているとあっという間に過ぎてしまったお留守番一日目。
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