翌日、工藤邸に遊びに行って自分の部屋を見て驚いた。
クローゼットにあたしの服があるっていうのは、前回お泊まりした時に聞いてはいたけど、まさかクローゼットいっぱいにあたしの服があるなんてっ!!
しかも、外出着だけじゃなくて部屋着に使えるゆったりした服も、パジャマまで揃ってるし。
化粧台には前回はなかったメイク道具も化粧水とかも髪を巻くコテまでフル装備されていた。
え?あたし、この部屋で暮らすのに何も持って来なくていいんじゃない?
「どう?なまえちゃん。まだ足りないモノとかありそう?」
『いえ…余りに揃い過ぎててビックリしてただけです。まさか、こんなに色々あるとは思ってなかったので』
「ホントに?じゃあご飯食べたら下着買いに行くだけで良さそうね」
『えっ!?』
「あら、だってそれだけ持ってくるのも面倒でしょ?さぁ、お昼ご飯作っちゃいましょう」
なまえちゃんと一緒に作るの楽しみにしてたの、なんてルンルンと階段を降りて行く有希子さんにかける言葉が見つからなかった。
え?あたし、この部屋で暮らしてるわけじゃないんですけど、何処まで揃えたら気が済むんですか?
とか思いつつも、とりあえずお腹を空かせているであろう先生の為にご飯を作るべく、キッチンへと向かった。
有希子さんとお揃いのフリフリエプロンも前回克服してしまっているので、もう何の抵抗も感じなくなってるし。
「やっぱりなまえちゃんみたいな娘がいると楽しくていいわね!」
『そうですか?』
「うん!だって、こんなにお料理の手際もいいし、楽しくお喋りしながらお昼の支度が出来るんだもの!」
『あたしも普段は一人で作ってるので、有希子さんと一緒に作るの楽しくて好きですよ?』
「もう、なまえちゃんったら可愛いんだから!」
毎回恒例になった抱きつきも、今ではだいぶ手加減してやってくれるから苦しくもないし、こんな美人に抱き締められるなんて嬉しい限りだ。
「ねぇ、なまえちゃん、このまま家に住まない!?」
『それは工藤くんが困るでしょうから遠慮しておきます』
「えー」
あ、そっか。
あたしが言い訳に工藤くんばっかり使うから二人が勘違いしちゃうのか。
って気付いたけど、工藤くんもクラスメートと一緒に暮らしたくないだろうと勝手に納得することにした。
ダイニングでは先生が既に待ってるから、早く支度を済ませようと料理を盛り付けし始めた。
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