『ふぅ。ただいまー』
思いきり泳いですっきりして帰ると、工藤くんと蘭が何か変な空気だった。
一体何があったんだ?
「なまえちゃーん!!!」
『明日香!?どうしたの?そんな泣きそうな顔して。何かあったの?』
あたしを見つけるなり、抱きついてきた明日香に、誰かが何かしたんだったらあたしが何倍にもして返してやるとか物騒なことを考えてると
「なまえちゃんが無事に帰ってきてくれて良かったー!」
とあたしに抱きついたまま泣き出してしまった。
へ?あたし?
『え?どうしたのよ?』
本当に意味が分からなくて困っていたら、工藤くんがあっさりと
「オメーがブイまで泳いでから帰るっつってからずっとそんな調子だったんだよ」
と告げた。
ちょっと待て。
あたしはあんたに大丈夫だから心配すんなと言伝てしたはずだけど?
と視線を送れば、意味が分かってくれたのか、ぶすっと不貞腐れたまま
「河野も蘭も俺の話なんか聞きやしねーんだよ!!」
と叫ばれた。
……。
ご愁傷様…?
「でも本当になまえが無事で良かったよ」
『蘭までそんなに心配してくれてたの?』
「当たり前じゃない!泳ぐの得意だっていうのは聞いてたけど、なまえと海に来るのは今回が初めてなんだよ?」
『ごめんね?二人に心配かけるつもりはなかったんだけど…海に来たら思いっきり泳ぎたくなっちゃってさ』
「無事に帰って来てくれたからいいよ!」
「そうそう!何かあったら新一ぶっ飛ばしてたわよ!!」
「だから!何で、そこで俺が出てくるんだよ!?」
「あんたがなまえの後追ってったのに、なまえを一人にしたからに決まってるでしょ!?」
『…明日香、あの二人、当分終わりそうにないから、先にみんなのとこに行こうか?』
「うん!」
「あっ!ちょっ、みょうじ待ちやがれ!オメーも蘭鎮めるの手作えよ!!」
って言う工藤くんの叫び声はあえてシャットダウンした。
うん。あたしは何も聞いてない。
そう心の中で繰り返しながら、お昼にしようと騒いでるみんなの所へと合流した。
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