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「はぁ…はぁ…。何なんだよ、あいつは」


海へ行くみょうじを見て、河野に泳ぎに行ったって聞いてすぐ後を追ってった時もどんどん引き離されてヤベェって思ってたのに、どんだけ息が続くんだよ。

ちょっと(というかかなり)体力にも運動神経にも自信があったから、みょうじに負けたのが正直悔しかったりする。


「ちくしょー」


小さく舌打ちをして呟けば、俺を見つけて来たらしい河野がキョロキョロと辺りを探し出した。


「あれ?なまえちゃんは?」

「あいつならまだ泳いでるぜ?」

「何よそれ!新一、一緒に帰って来なかったの!?」


ったく。
蘭まで来てたのかよ。

ってか俺が怒られる意味が分かんねぇんだけど。


「みょうじならブイまで泳いでから帰って来るってさ」

「工藤くん、ブイって何?」

「ほら、沖に浮きがあるだろ?泳いでいいのは此処までだってヤツ。あれのことだよ」

「えーーっ!?なまえちゃん、あんなとこまで泳ぎに行っちゃったの!!?」

「いや、みょうじが心配すんなって言ってたから大丈」

「何で新一その時止めなかったのよ!?なまえに何かあったらどうするの!?」

「何で俺が怒られなきゃいけねーんだよ!?」


俺と蘭が口論を始めても、河野はずっと心配そうに沖を見てはキョロキョロとしていた。

ったく、心配すんなって伝えろって言われても、こいつらお前の発言しか聞かねぇみてーだぞ。

と、みょうじに毒づきたくなった。


心配させたくねぇんだったら、さっさと帰って来いよな。

と、蘭と脱線しちまったくっだらねー言い争いを続けながらも、俺も沖へと視線を送った。



なんか。あいつが帰って来ないようなイヤな予感がして、胸が騒いだ。


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