『つまり…』
「話を要約すると、俺を交えた四人で飯が食いたかったってだけでこんなことしたのかよ?」
有希子、反省。
って言動に書いてあるんじゃないかってくらいしゅんとして小さくなってしまっている有希子さん。
あたしも工藤くんもため息しか出てこない。
それならそうと言ってくれれば、こんな騒ぎにならなかったのに、と二人揃って呆れていた。
「なまえ君はいつも新一の名前が出るとすぐに帰ってしまうだろう?それは家族水入らずの時間を邪魔したくないからだっていうのは分かっているんだ」
「でも、どうしてもなまえちゃんと一緒にご飯食べたかったんだもん!」
「で、夕飯作っちまって、勿体無いから食べてけよって話に繋げようとしたんだな?」
「うん…」
またしょんぼりとし出した有希子さん。
そんなに四人でご飯が食べたかったのか。
『じゃあ、とりあえずご飯にしましょうか?』
「え?」
『あれ?まだ出来てなかったんですか?それなら手伝いますけど…』
「なまえちゃん食べていってくれるの!?」
『有希子さんの手料理ムダにするわけないじゃないですか。それに、誘っていただけるならあたしいつでも来ますよ?』
「なまえちゃん、大〜好きっ!!」
『むぐっ、んーんんんー!!』
「有希子、離してあげないとなまえ君が苦しそうだよ」
「あら、あたしったらまた…なまえちゃん大丈夫?」
『げほっ…このくらいなら大丈夫です』
親指を立てて大丈夫アピールをする。
ちょっと苦しかったけど、このくらいなら全然許容範囲内だ。
工藤くんも交えて、みんなで夕食の準備をしていると、工藤くんに話し掛けられた。
「母さん、いつもあんなことしてんのか?」
『抱きついてくるのはいつものことだけど、あのくらいなら全然優しい方だよ?5段階評価ならレベル2に行かないくらいかな』
「…レベル5は聞かないでおくわ」
ちょっと遠い目をした工藤くんに思わず笑みが溢れる。
もしかしたら、工藤くんにも似たような経験があるのかもしれない。
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