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真っ暗な闇の中、ぽつんとあたしだけがいる。

手を伸ばしても、そこには何もない。


此処はどこだろう…?

遠くに白い柔らかな光が灯って、そこには高校時代いつも一緒に過ごしていた一番の仲良しだった瑠架がいた。


『瑠架!』


暗闇の中をその光を目指して走って行けば、瑠架はあたしに背を向けて、立ち去ろうとした。


『瑠架待って!』


お願い!聞こえてるんでしょ!?

手を伸ばせば届きそうな距離で瑠架と共に白い光も消えてしまった。


どうして…

そう思っていたら、今度は明日香や蘭、園子が現れた。

笑いかけてくれる明日香たちに手を伸ばすけど、触れそうになると消えてしまう。


イヤ、だ。
嫌、イヤ、いやっ!
一人にしないで。
置いて行かないで。
あたしの傍にいてよ…

ねぇ、どうしたらいいの…?
どうしたら、あたしは……


「…君」


あれ?
声が聞こえる。
どこから…?


「…君、なまえ君!」


はっと目を開けると、そこには心配そうな顔をした先生があたしの顔を覗きこんでいた。


『先、生…?』

「だいぶ魘されていたが、大丈夫かい?」

『一人になる夢を見てたんです。手を伸ばそうとしても、届きそうになったらみんな消えちゃって…あたし、一人で…っく』

「大丈夫。私も有希子もなまえ君の傍にいるよ」


優しく頭を撫でてくれる先生の大きな手に安心したのか、涙は次から次へと溢れて来て止まりそうにない。


『先、生は…っ、置いてか、ないですか…っ?』

「え?」

『あた、しをっ置いて…一人、ぼっちにしなっ…ですか…?っく』

「なまえ君…」

『もう…っ置いていかれるのは…イヤ、なんですっ…』

「大丈夫だよ。怖がる必要はない。私はなまえ君の傍にいるからね」


優しく抱き締めて背中を擦ってくれる先生に、どうしようもなく涙が溢れる。


「大丈夫。君を置いて行ったりしないさ」


大丈夫、そう繰り返し唱えてくれる先生の言葉はまるで魔法の言葉のように、あたしを暖かい安心感で包んでくれた。


例え嘘でも、今だけはこの言葉にすがりたい。

そう思いながら、先生の胸に頭を預けたまま、あたしはまた意識を手放した。





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