「んー!なまえちゃんのケーキ美味っしー!!」
『有希子さんに喜んでもらえて良かったです』
玄関で酸欠に陥ったあたしもやっと回復した頃、先生が持って帰ってきたケーキを早速切ってしまった有希子さん。
「やっぱりなまえちゃんのお菓子は新ちゃんより先に食べないとね!」
絶好調にテンションハイな有希子さんに言葉がなかったんだけど、先生まで有希子さんに同意してしまったので何も言えなくなってしまった。
サッカー部へこっそり差し入れしてたのがバレた時も、有希子さんから同じものが食べたいと毎日毎日催促の電話がかかってきたから作ったんだけど、この様子ではどうやら先生もグルだったらしい。
手作りが好評なのはこの上なく嬉しいんだけど、ちょっとこれは…ねぇ?
「ねぇ、なまえちゃん。7月末って何か予定ある?」
『え?特に何もありませんけど…どうかしたんですか?』
「新ちゃんがさっき言ってたんだけどね、サッカー部で合宿があるんですって!」
『それが何か…?』
まさかあたしにマネージャーとしてその合宿に参加しろとでも言うつもりですか?
いくら有希子さんのお願いと言えど、さすがにそれは断らさせていただきたい。
この暑い中、外に出るとかイヤだし。
「だからなまえちゃんうちに泊まりに来ないかなぁって思って!」
『はぁ…お泊まりに…って、えぇ!?』
「ああ、それはいい。どうだい?なまえ君」
『え?いや、あの…ご迷惑じゃあ…?』
「全っ然!一緒にご飯作ったり、お出かけしたりしましょうよ!」
「予定がない時はのんびり本でも読んでいるといい。自分の家だと思って好きにしてくれたらいいからね」
『えっと…』
「じゃあ決まりね!新ちゃんが帰ってきたら合宿のこと詳しく聞いておくから!」
「今から楽しみだな」
どうやって断ろうかと悩んでいたら、あっという間に話がまとまってしまった。
え?夏休みに工藤邸にお泊まり?
嬉しいんですけど、何かイベント間違っちゃいませんか!?
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