午前中の授業も全部終わって、お昼休み。
明日香に屋上行こうって誘ったら先に行って場所取ってて!と言われてしまった。
確かにこの前工藤くんと一緒にお昼食べた時も人が多かったし、仕方ないかと一人で屋上に向かうと既に工藤くんが待っていた。
あれ?工藤くんが場所取りしてくれてるんなら、あたし明日香待って一緒に来ても良かったんじゃ…
「お、みょうじ!こっちこっち」
『あ、うん』
あたしを見つけた工藤くんがこっちに向かって手を振ってきたので、とりあえず工藤くんの元へと向かった。
「んじゃ、飯食おうぜ?」
『あたしは明日香が来るまで待ってるから、工藤くん先に食べてていいよ?』
「あ、河野なら来ねぇよ」
『え?』
「俺がみょうじと邪魔されずに話したいっつったら協力してくれたんだよ」
ってことだからって…
え?いや、意味が分かんないんだけど。
「言っただろ?別にみょうじと飯食うのが嫌だったんじゃなくて、父さんたちにからかわれんのが嫌だったって」
『それで態度で示してくれてるんだ?』
「ま、そういう訳でもねぇけど、みょうじとまともに話したのってこの前此処に来たときくらいだろ?」
『そうだっけ?』
「おう。だから、此処なら邪魔されずに話せっかなぁと思ってさ」
『で、何の話があるの?』
「……」
わざわざこんな場所を設けるくらいだから、何か話したいことがあるんだろうと思ってたのに、工藤くんは目を丸くして固まってしまった。
あれ?話があるからあたし呼ばれたんじゃなかったの?
『工藤くん?』
「え、いや、その…」
『いや、そんなどもんなくても…』
「特に話があったとかじゃなくて、その、だな」
『その?』
「俺、みょうじのこと何にも知らねぇし、父さんとはすげぇ仲良さそうにしてるし、だから、その…」
なんだか必死になって言い訳を並べてる名探偵を見て思わず笑ってしまった。
高2の頃には堂々と推理してた工藤くんがまさかこんなにテンパることがあるなんて。
あ、蘭のこととなるとテンパってたか。
『つまりは友だちになりたいから、とりあえずゆっくり話したかったってこと?』
「お、おぅ」
視線を外して、照れ隠しに頬を掻いてる工藤くんがなんだかとっても可愛かった。
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