「ったく…知ってたんならなんで学校で言わねぇんだよ」
『だって今日は工藤くんと学校で話してないもの』
「そーゆーことじゃなくってだな!」
「新ちゃん!女のコをそんなに責めないの!」
今はお食事するホテルへと向かっている車の中。
工藤くんはずっと不機嫌モードだったんだけど、あたしに八つ当たりしようとした途端に有希子さんに止められてしまった。
ちなみに先生はさっきからずっと楽しそうに笑っている。
「母さんだってそんな素振り欠片も見せなかったくせに」
『有希子さん、あたしが工藤くんに見つけてもらったって先生に連絡した時からずっとテンション高かったよ?』
「はぁ?!」
「つまりは新一の観察力がまだまだだというわけだ」
先生がそんな風に工藤くんで遊んでしまったので、工藤くんは更に機嫌を損ねてしまったらしい。
『工藤くん、そんなにあたしとの食事嫌だった?』
「え?いや、違っ」
「なまえちゃん、嫌な思いさせちゃってごめんなさいね。あたしなまえちゃんとのお食事が楽しみだったから、まさか新一がこんなに嫌がるなんて思ってなかったのよ」
「母さん!」
『有希子さん、気にしないで下さい。あたしも有希子さんと先生とお食事に行くの楽しみにしてたので…。一人で浮かれちゃって工藤くんの気持ち考えてなかったんです』
「みょうじ…だから俺は、」
「そんなに嫌なら新一は帰るか?父さんたちはこのままなまえ君と食事に行ってくるから」
「〜〜っ!!」
何時にも増して楽しそうに工藤くんをいじる先生たちに内心笑いつつ、あたしも便乗してからかっていたら、もう工藤くんは何も言わなくなってしまった。
ありゃ。やり過ぎたかな?
『ねぇ、工藤くん』
「んだよ」
『あたし、工藤くんと食事に行くのも楽しみにしてたんだよ?』
「!」
ずっと外の景色を睨んでいた工藤くんがこっちを見たので、どうやら工藤くんの機嫌も少しは直ったらしい、とあたしも工藤くんとは反対側の景色を眺めることにした。
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