あやし奇譚 | ナノ


鬼事










食満と文次郎は、屋敷内を歩いていた。


一つ一つの部屋を覗き見ては、怪異や異変が起こっていないか調べる。
それなりに大きな母屋の中は当然部屋数も多く、調べるべき対象も絞れていない現段階では、地道に一室ずつを調べていくしかない。
今のところ、目立って気になる点も、怪しいモノもなかった。





そんな二人を追いかけてくる気配があった。
人のものではない。
酷く不安定で小さなものではあるが、確かに感じられるその気配は、先程店で一瞬だけ感じたものと一緒だった。


先程は二人が気付くと同時に消えてしまったその気配は、二人が屋敷の母屋部分に足を踏み入れてからは、一定の距離を保つようにしてずっと付いてきていた。

しかし、相変わらずその気配は、二人が気配に対して何らかの反応を示したり、少しでも気配の方へと近付くと、一瞬で消えてしまう。
そして、二人が自分から離れるか調査へ戻り暫くすると、再び現れ付いてくる。

こちらの様子を窺っているのか、それとも警戒しているのか。
からかって遊ばれている、とは思わないが、これではまるで二人とその気配とで、隠れ鬼でもしているかのようだ。



そういったやりとりをいくらかして分かったが、相手はとても臆病な気質らしい。

こちらに興味を持っているが、姿を見せる程には警戒を解いていない。
自分の方に意識を向けられればすぐに姿を隠してしまうが、また暫くすれば好奇心から近付いてくる。
こちらの行動に対する反応の速さは、用心深さというよりは、草食動物が身を守ろうとしてとる反射行動に近く。初めからよく意識を集中していれば、その動きはある程度読むことも出来た。

そんな動きの端々からは、幼い子供特有の詰めの甘さが感じられる。





食満は、屋敷に再度入ってからより近くに感じるようになったその気配が、あの時に出会った子供のものだと確信していた。

感じるのだ。あの時の子供が纏っていた空気と、同じものを。
生まれたばかりの赤子のように無垢で、透明で。食満と同じ、わずかな寂しさを抱いている。
だから、食満には分かる。そして気になるのだ。


先程大声を出して驚かせてしまった時のようなことはしたくなかった。
怯えさせたり、驚かしてしまうのは本意ではない。出来れば自然に距離を縮めたい。警戒を解いてもらいたい。

もしも、子供の方も食満のことを覚えてくれたのならば。食満を気にしているからこそ、こうやって後をついてきてくれているのなら、何かきっかけさえあれば、もう少し距離を縮められるかもしれない。

何か良い手はないだろうかと、食満は屋敷内を探索しながら手を考え続けていた。





「…」

その一方で、文次郎は少し前から続くこの現状に、明らかに苛々としていた。

何がしたいのか。用があるのならさっさと出てくればいいものを。
と、何事もはっきりとした態度を好む文次郎としては、その気配の付かづ離れずな焦れったさが耐えられないのだろう。

実際、文次郎は何度か、その気配の主を捕まえようと飛び出そうとしていた。
相手の反応は敏感だ。少しでも自分の方へと二人の意識が向けば隠れてしまう。
しかし文次郎であれば、隠れられてしまう前に捕まえることが出来る。
万全の状態ではないとは言え、文次郎よりも格上の相手でもない限り、捕まえる程度のことは容易いのだ。


その度に、食満が文次郎を制していた。

もう少し待て。
待てども待てども進展がないじゃねぇか。
ちょっとの間の我慢くらい出来ないのか馬鹿文次。
誰が馬鹿だ体力無し。
んだとコラ。
なんだコラ。

といった具合に、その度にひそひそとした小喧嘩が始まりかけては、お互いが手足を出しかける衝動をぐっと堪えるはめになる。



不完全燃焼の口だけの応酬は、手足を交えての殴り合いの喧嘩よりも気力を消費するもので、何度目かの同じやり取りを終え心身ともに疲労を感じ始めて来た二人は、ある閉め切られた一つの部屋の前に来た。

中を調べるべく、食満が部屋の障子に手を掛ける。




すると、その足元に不意に触れるものがあった。



「…手鞠?」

それは、綺麗な模様の鞠だった。
町でも子供たちがよく地面について遊んでいるのを見るが、町で流行っているものに比べたら、こちらの方が模様が細かく複雑で、高級そうだった。

どこから転がって来たのだろうかと、食満が鞠を拾い上げようと、障子に手を掛けたまま屈む。
その拍子に障子が開き、暗い室内が僅かに覗く。




その時、部屋の中から何かが勢いよく飛び出してきた。

丁度鞠を拾おうと屈んだ食満の頭上を、シュンッという風切り音が越え、食満の後ろに立っていた、文次郎の顔面目掛けてそれは飛ぶ。

バシンッと何かにぶつかるような音。
驚いて食満が顔を上げれば、そこには顔面ギリギリで室内から飛び出してきた鞠を受け止めた文次郎がいた。



「っだ…」

大丈夫か、と。
食満はそう続けようとした。
だがその前に、次なる物体が文次郎目掛けて飛んできた。



バチャンッ


やけに瑞々しい、何かの破裂音。





「……は?」

文次郎が、僅かに唖然とした声を上げる。
その顔の左半分からは、何故か水が滴っている。





「…」

掛ける言葉の見つからない食満がふと視線を落とすと、水浸しになった文次郎の足元に、何かの残骸を見つけた。



「…水風船?」

それは、割れた風船の残骸だった。



文次郎は、先に正面から飛んで来た鞠を受け止めていた。
それだけならば余裕で受け止めていた文次郎であったが、次に、水の入った風船が飛んで来た。しかも、それが飛んで来たのは文次郎の左手側からで。
運の悪いことに、文次郎が鞠を受け止めたのは左手で、その手は未だ鞠を掴んだまま塞がっており、そこにぶつかった水風船が、衝撃のまま破裂して水をまき散らしたのか。




二人が呆然と立ち尽くしている僅かな間に、風船の飛んで来た左手側の廊下の奥から、ふっと気配が消える。あの子供のものだった。


文次郎が、左手に握ったままだった鞠を、無造作に床に落とす。
食満が拾ったものと良く似たその鞠は、綺麗に磨かれた床板とぶつかって、鈍く固い音を立てて弾むこともなく転がった。
どうやら、弾性が強く柔らかい食満が拾った手鞠とは違い、文次郎が投げつけられたのは芯に糸を巻き付けただけの、観賞用の固い鞠だったようだ。



「…あ〜、文次郎…?」

食満が、声をかける。
別に、文次郎の身体を気にしてではない。
いくら不意打ちで投げられたとはいえ、あれ位のもので文次郎が怪我をするはずもない。

文次郎は食満の呼びかけにも返事を返さなかった。
文次郎からにじみ出る空気が一気に不穏なものへと変わった。
今にも飛び出して、隠れた子供をとっ捕まえに行ってしまいそうだ。

文次郎を止めなければ、今までの我慢も無駄になる。
しかし、今の文次郎は食満が多少宥めたくらいでは静まりそうにない。
だからと言って、ここで文次郎に大声を出して喧嘩になってしまっては、先程の二の舞だ。






「…おい、文次郎。ここで別行動だ」

食満が、はぁと溜息をつき、声を抑えて文次郎に言う。

「…あぁ?」

文次郎も漸く反応を返すが、今の状態での口調と表情はその気がないのだとしても、食満の切れやすい琴線を刺激してくる。
反射的に食満の眉間にも皺が寄り、口元が引き攣る。が、必死で己を鎮めた。



「お前の面があまりに凶悪だから、あの子が近づいて来れない。俺はあの子に何とか近づいて…出来るようなら話をしてみる。お前は、屋敷の中を探れ」

散々考えたが、それが最善だった。

文次郎は、子供が苦手だ。
自他共に厳しく、頑固で、生真面目で、融通の利かないその性格から、子供からも好かれる性質ではないと本人も自覚している。更に、今の文次郎の人相では、やんちゃ盛りのガキ大将だって泣いて逃げだすだろう。
そんな文次郎を連れたままでは、こちらを警戒する子供相手にこれ以上の進展は難しい。


それに、じっくり時間をかけて警戒を解いていこうかと思っていたが、こういった悪戯が出るとなると話は別だ。

今のは、明らかに文次郎を対象としていた。
子供の警戒は、文次郎へとより多く向いている。
その警戒が明確な拒絶となる前に、ここで二手に分かれて、自分が子供の意識を引いていた方がいい。
もしも子供が食満のことを覚えていてくれたのなら、食満一人になった方が、近付いてきやすくなるかもしれない。



「…分かった」

文次郎も、食満の言葉(主に出だし部分)に多少ひっかかりを感じたらしいが、その提案自体は悪くないと思ったのか、割とすんなりとそれを受け入れた。








文次郎が、背を向けて一人屋敷の調査へ向かう。
若干不服そうなその後ろ姿からは、まだまだ不穏な気が漂っている。

文次郎の姿が廊下を曲がり食満の視界から消え、その気もある程度遠ざかると、再び、あの子供の気配が現れた。

こちらの様子を窺っているような、その気配。
食満は足を止め、ぐるりと周囲を見渡した。



「なあ」

ここに来て始めて、子供に声をかけた。
反応はない。しかし、子供の気配は消えずにこちらを見ている。



「ごめんな、騒がしくして。驚かしちまったかな」

食満は、自分の後輩たちや、町の子供たちを相手にする時を思い出して話しかけた。
自然と、その口調は穏やかなものになっていた。



「別に、お前のことどうこうしようとか、そういうつもりで来た訳じゃないんだ。ちょっと調べたいことがあって、この屋敷の中を見せてもらいたいんだ」

害意はないことを分かってもらいたい。警戒する必要はないのだと。そう言葉に込める。



「それと…、覚えてないか?何日か前に、俺と会ったこと」

気配が僅かに揺らいだ。
その反応が、覚えていると、そう言っているように感じられて、食満の顔に嬉しさが自然と滲む。



「またなって、言っただろう。あそこで待ってたんだが、会えなくてな。探しに来たんだ。元気だったか?」

気配が、僅かにこちらに近付いてきた。
こちらをじっと見ている、子供の視線を感じる。



「お前の家、でっかいんだな。最初ここだって言われた時、ちょっとびっくりしたよ。俺は貧乏人だからなぁ。こんな大きい家は、少し緊張する」

食満が、そう言って苦笑し頬をかいた。
食満が話す度に、子供の気配が少しずつ近づいてくる。
今は、食満が立つ廊下の曲がり角の影。一丈も離れていないそこから、気配を感じる。

食満は、廊下にしゃがんだ。
ちょうど、子供と同じ目線の高さになるように。



「でも、こんな大きい家に一人きりで、つまらなくはないか?寂しくはないか?つらいことはないか?…助けて欲しいことはないか?」

子供が隠れている廊下の角に視線を向けて、一番気にかかっていたことを聞いてみた。

子供からは、何も返ってこない。
しかし、こちらの言葉はちゃんと届いている。
その証拠に、最後の問いに対して、僅かに子供の気が揺れたのだ。



「…まぁ、いきなりそんなこと、然程知らない相手に聞かれても、答えにくいよな。だから…俺と仲良しにならないか?」

再び、子供の気が揺れた。
突然の食満の提案に驚いたのか。戸惑ったのか。
食満は言葉を続ける。



「仲良しってのは、まぁ…友達のことだ。俺は、お前と友達になりたいんだ。嫌か?」

良いとも、嫌とも。やはり反応はなかった。
しかし、子供の気は揺れ続けている。
食満は、このまま押し続けることにした。



「友達になってもいいと思うなら、俺と遊んでくれないか?。何でもいいけど、最初の遊びだけ俺が決めていいか?お前は隠れるのが上手そうだから。隠れ鬼なんてどうだ。俺がお前のこと見つけられたら、俺の前に姿を現してくれよ。そしたら、それからはお前の好きな遊びで、遊ぼう。一緒に、遊ぼう」

そこまで提案して、食満は口を閉じた。辛抱強く、相手からの反応を待つ。

不意に、曲がり角の奥から物音がした。
そして、ぱたぱたと子供の掛けていく足音が続く。

こちらに聞かせるように、わざと大きく遠ざかっていくその足音は、食満の提案を、子供が受け入れてくれた合図だった。



その足音を聞いた食満の顔にも笑みが浮かぶ。
すくりと立ち上がり、追いかける準備をするように袖をめくる。



「っよし!百数えたら追いかけるぞ!しっかり隠れるんだぞ!」

掛けていった子供にも聞こえるよう、楽しげに声をはって、食満は数を数え始めた。













「…手強い」

膝に手をつき、項垂れた食満は吐き出すように呟いた。



初めの百はとうに数え終わり、今は鬼事の真っ最中。
食満が屋敷の何処かへ隠れた子供を探しに出て、もう随分と経っている。

しかし、未だに食満は子供を捕まえることは愚か、その姿さえまともに捉えられていない。
相手は、食満の想像以上の逃げ上手であったのだ。





実のところ、子供の隠れ場所の見当はすぐに付けられた。
少し意識を集中させてやれば、屋敷の中をあちらへこちらへ、鬼役の食満から逃げる子供気配を見つけることが出来た。
それを追えば、何処に隠れられようとも、食満にはお見通しなのである。

本来、食満にはこんな追い方は出来ない。
食満は、妖を見て気配を感じることは出来るが、その感覚はかなり大雑把なものである。
大勢のモノの気配の犇き合う中で、特定の気配のみを探し出して追い掛けるなど、妖の中でも特に鼻の利く文次郎や、人並み外れて感覚の鋭い作兵衛程の能力がなければ出来ない。
それが食満にも出来るというのは、先程間近で子供の気配を感じとり記憶したことと、この屋敷の中にある気配が、文次郎と食満のものを除けば、その子供のものただ一つであるからこそだ。

相変わらず、いくら走り回ってみても屋敷の中はしんと静まり返っている。
人払いを頼んでいるから当然のことではあるが、人以外のモノの気配すらこうも一切感じられないというのは、やはり異常なことであった。



気配を追って鬼役をするなど、反則技に近い。
純粋に子供が遊びとしてこれを楽しんでくれているなら…と考えて、食満は申し訳ないような気分になる。
それでも、あくまで本来の目的は、これを足掛かりに子供との距離を縮めることなのだ。あまり長々と追いかけっこを続ける訳にはいかない。



しかし、この鬼事の終わりは一向に見えない。

気配を追うことで、食満には子供が屋敷のどの辺りに隠れたのか大凡分かる。
しかし、食満が子供の隠れ場所に近付くと、それに気付いた相手はあっという間に別の場所へと移動してしまい、食満が隠れ場所へと到着した時には、既にそこには誰もいないのだ。

まるで、消えるように移動してしまうその速さ。
文次郎や仙蔵のように短い距離を一足飛びに出来る足や風に乗る術でも使えれば、それを追うことも可能なのであろうが、生身の体しか持たない食満には付いていくことは出来そうになかった。





闇雲に追いまわしていても子供を捕まえることは出来ないと、食満は策を練ることにする。

追っては逃げられを何度か繰り返し、一つ分かったことがある。
子供はいつも、影の中にいるのだ。

柱の影。縁の下の影。障子の影。置物の影。
毎回何かの影の中に隠れ、そして、影から影へと飛ぶように移動していく。
そう言えば初めて合った時も影の中にいたな、と思い出す。
何か理由でもあるのか、いや今は鬼事を早いところ終わらせるのが優先だ、と頭を切り替える。

子供の隠れ場所は、いつも影の中。ならば…。



食満は、上張を脱ぎ、廊下の隅に小さく丸めて置く。
緩んで落ちてきた袖をもう一度まくり上げ直す。

「…よし!」

小さく気合いを入れ直し、食満は鬼事を再開した。







追いかけ、逃げられ、また追う。今までと同じやり取り。
しかし、食満はわざとそれを繰り返していた。
今までと同じと相手に思わせ、気取られないよう気を付けながら、食満は少しずつ、逃げる子供を目的の場所へと誘導していった。

調査と鬼役で走り回ったおかげで、屋敷の大体の構造は把握出来ていた。
空を見上げ、太陽の位置も確かめる。
頭の中に描いた屋敷の見取り図に、それらを当てはめ、定めた目的地。


見通しの良い廊下に、開け放された障子、がらんとした座敷の中には傾きかけた西日が入り込む一帯。
ここには、身を隠せる程の大きさの影は殆どない。
誘導に上手いこと乗ってくれた子供の気配がそこに留まるのを、少し離れたところで食満は確かめる。



問題はここからである。
食満は気配を殺して子供の隠れている柱の方を窺った。

食満のいる場所から子供の隠れている影までは、ほんの少しの距離がある。
このまま近付いたとしても、手が触れる前に相手に気付かれてしまうだろう。

ほんの一瞬。あの子供までの数歩を縮める間、子供の気を逸らすことが出来れば、鬼事は終わりだ。


食満は再び策を考える。
そして、懐から何かを取りだした。




―また、反則技に頼ることになっちまうが…

心の中で手を合わせ、食満は取り出したそれを唇に当てた。





















子供は、影の中に座っていた。
両足を抱え、膝小僧に顔を埋め、小さく小さく、縮こまっていた。

そうして耳を澄ます。
じっと、同じ姿勢のまま、耳を澄ます。
只一つの足音と気配だけを探して、耳を澄ます。


しかし、澄ましたその耳には、違うものが聞こえてきた。
その音を聞いて、思わず子供は顔を上げた。

顔を上げた子供の視界いっぱいに、鳥たちが飛んでいた。
桃に深緋色、若草に、露草。
あの時と同じ色の、小さな鳥たち。
見たことのない色の鳥たちも。
柱に背を預け、小さくなって蹲っていた子供を囲むように、様々な色の小鳥たちが舞っている。
光の差さない影の中でも、色とりどりの鮮やかな小鳥たちは淡く発光しているように、はっきりと子供の視界に映った。

子供は、足を抱えていた手の、握ったままだった片手を開いた。
そこには、小さな笛があった。
竹で作られたその笛には、朱色の小さな鶯が掘りこまれていた。

子供は、その笛を持ち上げて、笛に空いたいくつかの小さな穴の中を覗き込んだ。
でも、その中には何もない。
その中からは、鳥たちは飛び出してこない。
今、子供の耳に聞こえている、見えない鳥の歌声も聞こえてこない。


くしゃり、と。
自分の手の中の笛を覗きこんでいた子供の頭に何かが触れた。
大きくて、温かい。
何かを思い出す。
手の中にある笛をもらった時のことを。


子供の目の前を横切ろうとしていた翡翠色の小鳥が、すいと空気の中に溶けて消えた。
同時に、見えない鳥の歌声も止む。



「見つけた」

子供の頭上から声が落ちてくる。
子供は、声を追って顔を上げた。



そこには、青年がいた。
口元に当てた手の中には、子供が持っているものと同じ竹の笛を持っている。
ただ、そこに彫り込まれたのは、子供のものにあるのとよく似た、緑色の鶯だった。



「やっと、また会えたな」

そう言って、青年が笑った。





青年のその笑顔を見て
子供の視界は、溢れてきた涙で真っ白になった。









あとがき
副題が『鬼事』なのに、肝心の鬼ごっこまで辿りつけませんでした。

12/02修正
やっぱり入れました。
自然な視点変更や区切り方が、いまいち掴めないです…
大幅な修正申し訳ありませんm(__)m


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