本当に俺って男は恥ずかしくなるくらいに嫉妬深くて、それでも受け止めてくれるこいつのことが心から大好きだった。まあそれも恥ずかしくてなかなか言葉には出来ないけれど。
「ぎんちゃーん、出かけるんでしょー!」
「はいはい、お前そんなはしゃぐんじゃねーよ」
「はしゃぐよ!だってデートっぽいデートは初めてじゃん」
たしかに、高校生つったら映画に遊園地にショッピングにっつー感じでいろいろ出かけたりしたりするんだろうが俺たちはそんなもん特になくて。
だから、
どちらともなく触れ絡めた手と手の熱がこんなにあったかいのもよく知らなかった。
「で、どこ行くか決めたのかよ?」
「うー銀ちゃんこないだあの…アニメ映画見たいって言ってたからそれがいいかなーって!」
「悪くはねェーな」
「なにそれ〜上から目線んん」
駅のホームで並んで電車を待つ。唇をとがらせてついでに顎をしゃくらせて俺を見上げて怒るこいつ。いまいち可愛くねーけど可愛いと思えてしまうのはまあ…俺フィルターだな。
チョコレートいる?と聞かれ、もちろん貰って口に放り込む。小袋のゴミをポケットに詰めながらなんかのCMの歌を鼻歌で歌っている頭に頬を寄せる。
「甘え匂いすんな」
「え、シャンプーじゃない?」
「違う、オメーの匂い」
「ちょっとぎんちゃん、ここ駅だよ」
「知るかっつの」
「えええええええええ」
頬を擦り寄せて唇に噛み付く。どろどろに溶けたチョコレートが甘ったるく広がった。
恋の煙
ガゼルと少年様提出作品。