まず、始まりの子の話をしましょう。 始まりの子はとても身体の弱い子だったわ。 生まれてからほとんど病院に暮らしていたの。 大人ばっかりの、とても寂しい白い部屋だけが彼女の世界だったわ。 お母さんやお父さんは全然会いに来てくれない。 彼女の友達は本当に本だけだった。 彼女は本を沢山読んで自分の中で世界を創った。 それがこの世界。 色とりどりの花が咲き乱れ、不思議や楽しいものが溢れてる世界。 お菓子の家や子供の大好きな遊園地。 そんなせかいだった。 ………今や面影すらないけどね……………。 彼女はそんな世界の住人を沢山沢山思い描いた。 真っ白な二足歩行するうさぎ。 綺麗な声で歌う花。 そして、アタシ自身も。 彼女はこの世界で遊んだわ。 楽しくて、楽しくて、幸せだった。 でもね、終わりがきたの。 彼女は病気の治療で大きな手術をする事になったわ。 成功率は二十パーセントにも満たない手術。 彼女はこの世界にさよならしに来たの。 そして最後に一言いった。 『この世界は消えないでね』って。 それは彼女のささやかな願い。 きっとそこから世界は狂い始めたのね。 彼女という創造主を無くした世界とそこの住民は死にものぐるいで世界を安定させようとしたわ。 でも確実に少しづつ世界は崩壊し始めた。 ここで崩壊しとけば良かったのに。 神様の悪戯か、それとも悪魔の囁きか、たんなる偶然か。 この世界は生き残るの。 戻る |