長ネイ@同級生前提
2011/07/19 03:07


魔が差した瞬間よりも前に捕まえていた
(つまりは無自覚だった)




久々に正十字学園へ燐と雪男の様子を見にいこうと学園行きの古風なつくりの電車に乗れば昔の同期がいた


疲れたような顔とスッと伸びた背筋がアンバランス

ドア付近の手すりに腕をつけて外を眺めているネイガウス

塾時代の登校時とそっくりそのままの場所に今のネイガウスがいるのがなんとなくおかしく浮いた気分で側へ行った

ただ声をかけるのはつまらないので、昔していたように視界に入らないよう入らないよう

「よっ」
「…長友?」

視界に突然入るように横にとびいれば表情乏しく驚くネイガウス
すぐに呆れたような溜め息におもわず頭を掻く

「いい年した大人がガキくさいことだな」
「懐かしくなってな」

おんなじ場所にいるもんだから

窓ガラスをコトリと手の甲で叩くとまた溜め息付きで習慣だと返された

「学園に何か用か」
「ああ、様ってうお!?」

様子をみにきたと言おうとしたら反対側のドアから大量の乗客
朝のラッシュにかち合ってしまったらしい
ドアから人が流れこむ勢いを半ば関心しながら見つつ、潰されないよう窓に両手をつく
遠慮なく圧力を掛ける状況に閉口してしまう

「この時間帯だと大人が多いんだな」
「………」

あれ?返答がない?
興味のままにドアに向けていた顔を戻すと

「……」
「……えーとすまん」
「この馬鹿が」

窓ガラスについた両手の間にネイガウスを嵌めこんでしまっていた
近い、顔が。

「あれだな、電車でよくみるカップ」
「ほう…」

口元だけで笑うネイガウスの目がすわりかけているので最後までは言わなかった

溜め息をついたネイガウスが両手の中で手すりに寄りかかり身をかがめた
中途半端な体勢で辛くないのかと思ったが至近距離の顔を気遣ってくれたのだろう
少し低くなった目の位置

「次ですくといいな」
「学園前の駅まではこんな感じだ」
「…腕よっかかっていいぞ?その体勢じゃつらいだろ」
「問題ない」

顔をふせぎみに言うネイガウス
だがこの問題は耐えられるから問題ないっと言っているのであり辛いことに変わりはないだろう
せめて乗客からの圧力ぐらいからは盾になろうと肘に力を入れなおすと呆れたような目をされた

「一番楽なのは俺によっかかることなんだけどな」

腕じゃなくて体に

「……端からみたら寒気がするな」

クッと喉で笑うネイガウスが妥協して腕に少し寄りかかった

「今日は講義だけか?」
「ああ」
「久々に飲むか」
「いいだろう」

ポソポソとぎゅうぎゅうづめの箱の中での会話
ネイガウスはふせぎみに自分の胸元をみている
自分はネイガウスの片方だけさらされた瞼を見ている

「わ」

電車のカーブで増した圧力にこらえきれずたたらを踏む乗客を背にうけ前のめりになる
挟まれているネイガウスの頭が必然的に肩に食い込んだ

「ネイガウス大丈夫か?」
「ああ…」

顔はわからないが多分しかめつらをしているだろう声色におもわず苦笑した
この状態では耳しかみえない

耳…

ふと耳が気になった
ただの耳だ
湿り気の少なさそうな薄い皮膚

ああ魔が差す気配がした


「…どうした?」
「ああーなんでも」

なく は ない

急に黙ったのを訝しく思ったネイガウスが少し横に顔を向けたから耳よりも目元が見えた

さっきまで見ていた瞼

耳よりも薄そうな
少し疲れたような
柔らかそうな
乾いていそうな

「…っ!?」




ほとんど意識もせずに唇を瞼に乗せていた


固まるネイガウスの表情と体を腕のなかに

駅を一つ、二つ










(えーと)
(…何の用だ)
(昼間の失礼をお詫びしに)
(帰れ)
(ビールを)
(置いて、帰れ)
(…魔が差しました)
(……)
(…あー襲ったりしないし入れてもらえないか?)
(……)
(ネイガウス顔がまっk)
(黙れ)
(……)
(………)
(……すみませんでした)
(……上がりたければ勝手にしろ)






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