ブーゲンビリアの花がなく

君のことをこんなにもあいしているのに、なんで君は。
なんでこんなにも薄情なんだよ。僕を一人にするなんて。僕の目の前で、あっけなくしんでしまうなんて。

赤い風景。もうきっと忘れないそれは、君の生ぬるい血で構成されていた。

夏の暑い日だったのに、とても冷たかった白い腕。バスケ部の君は、白いのを気にしていたね。筋肉質で血管が浮いていた腕、広くて硬い手のひら。
あの日はじめて握れたんだ。
思いを伝えて、それで付き合ってくれるなんて本当におもっていなかった。だって、君はクラスの人気ものだし、僕も君も男だ。諦めていたし、バカにされるかもしれないなんておもっていたのに。
君は笑顔で僕の言葉に頷いてくれた。夢じゃないかと疑ったよ。夢じゃなかったのが、夢みたいだった。バカにされるかなんて怯えてた僕がバカみたいだった。
あのあとから僕と君は毎日一緒に下校したよね。覚えてるかな、君の家は僕の家よりも少し近くて、庭にはブーゲンビリアがたくさん咲いていてとても綺麗だった。
君はブーゲンビリアが大好きで僕に聞かせてくれたよね、色々な話。
君の誕生花だってこと、実は花に見える部分は大きな葉だってこと、花言葉は薄情や情熱で少し嬉しくないってこと。
ブーゲンビリアって名前自体知らなかった僕にとって、君が嬉しそうに語ってくれるそれは綺麗な花から、君の好きな花になっただけだったのだけど。
それでも、嬉しそうに君が語ってくれる言葉の全てが、僕にとっては宝物だった。

あの日、君の家がもうすぐってところであれは起こった。

赤い風景。

いつも通りの風景のはず。なのに、おかしな赤が上塗りされた。
僕の手と繋いでいたはずの君の手はちぎれて、道路に落ちた。
君の姿は赤に紛れて見えない。見たくなかった。足の力が抜けてしまった僕は、血が広がっていく真っ赤な道路にへたり込んだ。
血の匂い。あまりの酷さに口の中に酸っぱい味が広がって、道路の上にはいてしまいそうだったのをなんとか飲み込んだ。
君の前で吐くわけにはいけない。君にきたないものをみせてはいけない。
涙目でブーゲンビリアをみると、赤色の花から赤が滴り落ちていた。
それが僕にはブーゲンビリアの涙のようで。また胃液がせり上がってきた。ちぎれた白い腕も、君の体も、全てが。ブーゲンビリアと同じ色で、まるで君がすきなブーゲンビリアになったようだったのだから。
薄情なブーゲンビリア。だいすきな君。最低な気分だった。
近所の人が救急車を呼んでくれたおかげで僕は君の目の前で吐かずに済んだのだけど、僕がもしもうすこし早く救急車を呼んでいたら、だなんておもってしまうから悔しい。
結局、君は即死だったらしい。あたりまえだ。轢き逃げした運転手は捕まった。殺してやりたいほど憎んでいる。でも、君はきっと望まないだろうから。
君の写真の隣にブーゲンビリアを。君の笑顔に黄色のブーゲンビリアはとても似合っていて、泣いてしまった。
大好きだよ、今でも。あいしてるよ、なんでこんな早くしんでしまったのか問い詰めたいくらいに。

だから、せめて、僕は君の大好きだったブーゲンビリアを育てることに決めたよ。真っ赤なブーゲンビリアを、君の代わりに、一生、大切にするから。

















真っ赤なお話。
キリリクBLで花言葉。なんかBL?????ってなりますねすいません
リクエストありがとうございました!!!







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