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あるいは不完全な童話
ウリエとの幸せな日々。何てことない普通の日常、それをいつも通り繰り返す。でも私はそれに違和感を抱き始めていた。
「ねえウリエーー……」
「リツカ、そんなこと考えなくてもいいんだよ」
私の唇に人差し指をあて微笑む。そう、考えなくても、いい、私は……
思考がぼやけての霞んでいく。何を考えていたのかすら忘れてまた幸せな日常へと戻っていく、その繰り返し。おかしいことには気づけてもそこから先にたどり着くことはない。
捕らわれた蝶はもう二度と舞い上がることは無い。もう羽ばたき方も忘れてそのまま絡めとられ自分が飛べたことも忘れて。
あるいはこれは不完全な童話なのかもしれない。最後のページを失った物語それまでを永遠に繰り返していく。王子様からの目覚めに至る真実の愛のキスを得られないまま物語に、夢にとらわれ続ける。
その生が途切れるまで、幸せを失った現実から目を背けて、永遠に
お題:Cock Ro:binお題配布bot(@CockRobin_bot)様から
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