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一番厄介な存在



 完全に突き放してしまえたら、と何度思っただろう。懲りもせずまとわりついてくるライトを拒絶しながらもどこかそばに誰かがいることに安心している自分がいる。

「クソ…ッ」

 棺桶に忍び込み当たり前のように横にいるそいつの顔をみる。顔だけは整っていることに余計に腹が立つ。

「嫌いだ」
「んふ、ボクはスバルくんのこと好きだけどね?」
「喋んな。せめて寝てろ」
「はいはーい」

 本当に厄介なやつだ。心の隙間に入り込んでまとわりついて、縁を切りたくても切っても切れない血の繋がりがある。

「いっそ死んでくれればいいのにな」

 心にもない言葉を漏らし、そしてその存在を忘れるように目を閉じた。



お題:140文字SSのお題から




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