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朝になった、夢じゃなかった




「ん……」

 カーテンの隙間から漏れてくる朝日が眩しくて目を覚ます。なんで棺桶空いたままなんだ……?と回らない頭で考えながら見ていた夢のことを思い出していた。夢の中ではユイと二人、身体を重ねて愛し合っていた。やけに鮮明に覚えているし、触れた肌の感触だって思い出せる。

「なんて夢見てんだよ…」

 はあ、とため息をついてふと横をみるとそこにはユイの制服。なんでこんなところに?と疑問が浮かびはっとする。まさか、まさか、

「ん……おはよう……すばるくん…」

 声のした方をゆっくり振り向けばそこにはユイの姿。

「夢じゃなかった……」

 思わず言葉が口に出ていた。途端に恥ずかしくなって顔を背けると、ユイも同じだったようであ、あ、その、ごめん!と毛布の中の潜り込んでいった。
 その反応がかわいくて思わず毛布の上から抱き締めた。こんなこと思うなんてガラじゃないが、

「なんていうかこれが人並みの幸せってやつなのかもな」
「私も幸せだよスバルくん」

 背負った過去は消えなくとも今こうしてユイが隣にいる。それだけで全てが救われる気がして

「もう、二度と離さねぇぜ?」

 その幸せがこの腕をすり抜けていかないように強く、ユイを抱き締めた。




お題:3つの恋のお題ったーから




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