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ボクを壊すだけの夜はもう来ない




 ボクの隣で眠るビッチちゃんの顔を見る。安らかに幸せそうなその寝顔に思わず笑ってしまう。こんなビッチちゃんの顔初めて見たかも。

「これまで沢山迷惑かけてきたもんね」

 ぎゅっと抱き締めると起こしてしまったのか、もぞもぞと動き、んー……と寝ぼけながらビッチちゃんがボクの顔を見る。

「どうしたの……ライトくん?」
「んふ、なんでもないよ」
「そう……」
「起こしちゃってごめんね、ビッチちゃん」
「大丈夫だよ……それに……ライトくんが……凄く幸せそうで……私ま、で……」

 喋りながらまたビッチちゃんが眠りに落ちていく。それを見ながらこれが愛しいって気持ちなのかも、と思わず笑ってしまった。

「ボクってこんなに幸せになれたんだね。知らなかったよ」

 幼い頃毎日夜が来るのが嫌だった、母さんを殺したあともボクにとっての夜はただ歪なカタチの愛を求め快楽を求めるだけで決して良いものとは言えなかった。それが今はこんなにも幸せで。
 きっと恋とか愛とかバカにできないなんてあの頃のボクに言ったら馬鹿げてるって冷たく言い返されるだろうな。

「おかしくなっちゃったって言われてもいいよ、今が楽しいんだからさ」

 きっと今日も悪夢に魘されたりしない。もうボクを壊していくだけの夜はどこにも、無い。




お題:幸せにしてあげてから




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