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忘れることも許してくれない




 ふとした瞬間思い出す、あのナイフから伝わる感触を、最期のあの微笑みを、呪いめいたその言葉を。
 何もかも失ってしまった、きっと私はどこからか階段を踏み外して間違えた道へと進んでしまったのだ。

「もう許してよ……シキ……」

 みんなを護れなくて、貴方を正しい道へ導いてあげられなくてごめんなさい。いくら後悔しても何も変わらない。もう何もないのならいっそすべてなかったことにして忘れてしまえたらと何度思っただろう。でもその度に記憶のなかのシキが微笑むのだ。

「貴方は忘れることも許してくれないのね」




お題:お題bot*(@0daib0t)様から




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