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「雪、だね」
窓の外をぼんやりと見つめていたライトがそう呟いてんふ、といつものように笑う。
「真っ白な雪原のなかにスバルくんがいたらきっと遠くからじゃ見つけられないんじゃないかな?スバルくんもまた真っ白だから」
「あ?」
「でもその白の中に血のように赤いその瞳だけが浮かんできっと綺麗なんだろうね」
「気色の悪いポエムならよそでやれ」
「ボクは思ったことを言ったまでだよ?」
ライトの手が俺の右目にかかる前髪を払うと隠れていた右目が露になり、視界が少しだけクリアになる。そしてその視界の中に、まるで宝物を見つめるようなうっとりとした顔をしたライトが映った。黙っていればそれなりに綺麗な顔なんだけどな……なんてらしくもないことを思い、その思考を消すように目を閉じてライトの手を払いのける。
「白に赤って綺麗だと思わない?スバルくんの髪と目……雪に落ちる一滴の血の滴。んふ、雪が積もるのが楽しみだよ……雪のなかでスバルくんのその白い首筋に噛み付いて血を吸う……口の端しからこぼれたその血の滴が雪の白に混ざって……!あぁ……ったまらないよ……っ」
「だから気色の悪いポエムはやめろ」
「そんなことを考えてたらなんだかボクムラムラしてきちゃった。ねえスバルくん」
「吸わせないからな」
「まだ何も言ってないんだけど?でもまあ言わなくてもスバルくんは分かってるみたいだけど」
「断る。それに雪のなかで吸血したいってならそれまで我慢してろ変態」
「……!それってボクのお誘いを受けてくれるってこと?」
「さあな」
「スバルくんが素直になってくれてお兄ちゃんは嬉しいよ……!」
抱きついてくるライトを無理矢理引き剥がしため息をつく。どうかしてる、コイツもそしてオレも。
そう、きっと全部寒さのせいだ。そう自分に言い聞かせ窓の外で舞う雪をぼんやりと見つめた。
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