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 このところ毎日ライトが夜中にベッドを抜け出してどこかへ行っている。多分その目的はあれだと思う……。
 そして今日もまた、三人でベッドに入って少し経って、オレ達が寝たのを確認してからこっそりとベッドを抜けだしどこかへと行ったようだ。

「ライト……」

 うっすらと目を開けて、起きていることがばれないようにライトの顔を見たとき、その目には暗く悲しそうな色を浮かべていた。

「なんで助けてって言わないんだよ……!」

 素直じゃないのもオレたちに隠し事をする性格なのも分かってる。それでもオレ達は三つ子で兄弟なのに……!
 ベッドの中で悶々としていると部屋の扉が小さく音をたてて開いた。多分ライトが戻ってきたんだろう。オレは寝たふりをやめてカナトを起こさないように起き上がる。それに気づいたライトが一瞬驚いた顔をして、それからいつものにやにやとした笑みを浮かべた。

「どうしたのアヤトくん、もしかして起こしちゃった?」
「どうしたもねぇだろ。カナト起こしたらめんどくせぇし部屋の外に行くぞ」

 強引にライトの手を引いて部屋の外に出て扉をそっと閉めてからライトを睨み付ける。ライトはどうしたの?といつものように笑っていた。

「お前何を一人で背負い込んでんだよ」
「っ……なんのこと?」
「隠しても無駄だっつーの。お前が毎日のようにベッド抜け出してあいつのとこに行ってるのは分かってるんだからな」
「んふ、だったらなんだって言うのさ。あーもしかしてアヤトくん嫉妬?ボクがあの人とそういうことしてるのが羨ましいんだー」
「そうやって隠さなくていい。ベッド抜け出すときにあんな辛そうな顔してりゃ誰だって分かる」

 そう言うとライトの顔から笑みが消え泣きそうな顔になる。そしてオレの胸ぐらを掴み、そのまま壁に押し付けるようにぐっと押さえ付けられる。

「アヤトくんになにが分かるって言うのさ……!ボクは……ボクが、どんな思いで……どれだけ辛くて……!」
「分からねぇよ」
「じゃあ分かったようなふりしてボクに構わないでよ……!」
「だから一人で背負い込むなって言ってんだよ。オレがいるだろ。一人でどうにもならないならオレ様が協力してやる」
「アヤ、トくん」
「このアヤト様にかかればそれくらい」
「……いいよ」

 ライトがオレから離れていつものように笑う。

「アヤトくんがそうやって思ってくれてるだけでボクは十分」
「ライト……」
「たまにその胸かしてよ。辛いときとか泣きたいときに人肌が恋しくなるからさ。一人で背負い込むのはもうごめんだよ。んふ、それくらいいいでしょ?」
「ったりめーだろ」
「というわけで今日はアヤトくんの腕の中で眠りたいなー」
「なーんかお前の言い方が気色悪いんだよな……」
「ひっどーいアヤトくんが一人で背負い込むなって言ったんでしょー?」
「まあいいけどよ……」

 本当に力になれたのかはわからないけど、それでもライトの辛さが少しでも軽くなったとしたら……。

「それじゃあおやすみ、アヤトくん」
「おやすみ」

 男を、それも弟を抱き締めて寝るなんて端から見たら笑える光景だろうなと思いながら幸せそうに眠るライトの顔を見てオレも微笑みそして眠りについた。





そんな例えばの話




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