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「さて、寝るか」

 することを全て終わらせ欠伸一つしてユーマか体をベッドに沈めた。明日はそろそろトマトが収穫できるだろうとそんなことをぼんやり考えながら眠りにつこうと目を閉じる。
 そのとき部屋の扉がノックされた。こんな時間に来るのは多分アイツしかいないし、きっと目的もアレしかないだろうとそう思いユーマは気怠げに扉を開けた。

「おいアズサ今何時だと思ってるんだ」
「ユーマ……ごめん……お詫びに殴ってもいいよ……?」
「お詫びもなにも元々それが目的だろ」

 案の定扉の外に立っていたのはアズサだった。アズサはたまにこうしてユーマの部屋を訪れては殴ってだのナイフで切ってだの自分を傷つけて欲しいとユーマにねだっていた。

「ねえ……俺のこと殴って……思いっきり……痣が出来るくらい強く……」

 それがアズサの望みでアズサにとってそれが自分の存在意義なのもユーマは十分理解しているつもりだった。それでも傷だらけになっていく家族の姿を見るのは辛いことだ。

「ユーマ……?」
「また明日な」

 ユーマはそう言ってアズサの頭を撫でて額にキスをした。あの頃とは違う、お前には俺がいるから、だからお前はここにいても良いんだとそう思いながら。言葉でいっても伝わらないしきっと今だって伝わってはいないのだろう。それでもいい。

「俺はお前のこと愛してるからな」
「俺もユーマのことは好き……だから……俺を傷つけてよ……いっぱい……」

 いつかアズサが自分が必要とされていることに、愛されていることに気付けるよう愛情を注ごう。

「俺らしくねぇ……」

 そう呟きながらもう一度アズサの頭をぐしゃぐしゃと撫でてユーマはアズサに微笑みかけた。




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