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全部壊して壊して、オレの居場所を全て奪ってやつは満足気に微笑む。
「これでスバルくんはボクのものだね」
そうだ……こういうやつなんだ……他人のものを奪う快感を楽しむようなそんな理解したくもない性癖の持ち主。
「んふ、どうしたの?ボクの胸に飛び込んできて泣きすがって、ボクを求めてくれたっていいん だよ?」
「だれ……が……そんな……こと……」
「とか言いながら真っ青だよ?ダイジョーブ、スバルくん?」
目眩がする。喪失感と悲しみと怒りと色んな感情が混ざりあって自分の感情が自分でもよくわからない。ただひとつ分かるのは、オレは今こいつを死ぬほど憎んでいて、殺してしまいたいと思っているということ。
「いいねぇその憎しみに満ちた表情!その目で見られるだけでゾクゾクするよ……っ!スバルくんは今、さぞかし怒ってるんだろうねっそれはもうボクのことしか考えられないくらいに。あっは……そう考えただけで嬉しくて嬉しくてそれだけでイけちゃいそうだよ」
恍惚とした表情を浮かべ、意味のわからないことを並べ立てるヤツを睨み付ける。きっと腕力だけならオレの方が上のはず……それにオレには銀のナイフがある。これなら殺せる、そう思い踏み出そうとしたとき異変は起きた。視界がぐらりと揺れ全身から力が抜けていく……世界が回るような感覚に吐き気がした。
「あ、やっと効いたみたいだね?レイジにつくってもらったクスリ。スバルくんに暴れられたらボクに勝ち目は無いからね」
「くそが……」
「本当にボクはスバルくんに嫌われてるなー。ま、そういう子をおとすのって楽しいから良いけどさ」
「きもち……わるいんだよ……」
「なんとでもいえばいいさ、もうスバルくんはボクに手出しできないんだからさ?ほら、それじゃあベッドに行こうか。楽しい時間はこれからだよ……?」
抵抗することが出来ないまま抱き抱えられる。このままコイツの自室へと連れ込まれてオレは壊されていくんだろう……少しずつ緩やかに……。最悪なことばかり考える思考をシャットアウトして目を瞑る、眠って起きたらなにもなかった世界だなんてそんなご都合主義な世界じゃないことは分かっている、それでも今はそれにすがりたかった。
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