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「トリックオアトリート、スバルくん!」
「うわ……」

 ノックもなくいきなり勢いよく部屋の扉が開いたかと思うと変態がいつも以上に気持ちの悪いにやけ面でそこにいた。それも何故か童話に出てくるアリスの格好で。
 これはなんの悪夢か…ユイならまだしも大の男、それもライトがそんな格好をしていても可愛いと思うわけもなく逆に気持ち悪すぎて鳥肌がたつ。

「そぉんな露骨に嫌そうな顔されるとお兄ちゃんは悲しいなぁ……んふ、まあスバルくんのそのゴミでも見るような目も悪くは無いけど」
「あーなんて言うか……帰れ」
「あ、ちょっとぉもっと反応してくれてもいいじゃないか!めんどくさそうに追い返そうとしないでよ!それにハロウィンなんだから仮装するのは当然でしょ?」
「だからってなんでよりにもよってテメェがスカート履いてんだよ気持ちわりぃ」
「仕方ないじゃないか、ビッチちゃんに着せるはずだったのに逃げられちゃったんだから」

 だからってなんでお前が着るんだ、とつっこみたいところだが、余計なことを言うと話が更に長くなりこの気持ち悪いライトを見ている時間が延びるだけなのでぐっと抑える。

「で、何の用事だよ」「だぁかぁらぁトリックオアトリート、お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうよってこと。まあボクとしてはスバルくんが菓子を持っていない方が好都合なんだけど」

 嫌な予感がする。これはなんとしてもお菓子を差し出さなければいけない、そう思い部屋の中を見回してみたがお菓子は一欠片も無い。そもそも普段お菓子など食べないので部屋に存在するはずもないのだが……

「あれあれぇ?もしかしてお菓子、無いのかなぁ?んふ、それじゃあイタズラしなきゃね……」
「おい、やめろ、こっちに来るな!!」
「だってスバルくんおかし持ってないんでしょ?それじゃあイタズラしないと」

 近寄ってくるライトから離れようと後退りしたもののすぐに背中は壁にぶつかり逃げ場を失う。それを見てもう逃げられないよ?と言いながらライトは何かを取り出した。

「じゃーん、これなーんだ」
「は…?」

 その手にあったのは白い兎の耳がついたカチューシャだった。要するにこれをオレに着けろと言うことだろう。

「ボクがアリスならスバルくんにはシロウサギのコスプレをしてもらおうと思ってね。んふ、スバルくんの白い髪に白いうさみみってぴったりでしょ?」
「誰が……っ!!」
「それともボクにイタズラされたいのかなー?スバルくんは」
「っ!!分かったよ着ければいいんだろ着ければ!!」
「んふ、分かってくれればいいんだよ」
「それよりお前はその格好やめろ、気色悪くてさっきから鳥肌とまんねぇんだよ!」
「えー仕方ないなー」

 そう言いながらライトがエプロンを外し、ワンピースを脱ごうとする。

「なんでここで脱ぐんだよ!!」
「スバルくんが脱げって言ったんでしょ?もーボクの裸を見たいなんてスバルくんったらえっちなんだからぁ」
「誰がテメェなんかの裸見るかよ!!」
「素直じゃないなー。で、早く着けてよ、そのうさみみ」

 舌打ちをしてカチューシャを頭にのせる、屈辱的だがコイツにイタズラされるよりはずっとましだ。

「うわぁスバルくんすっごく似合ってるよ?」
「こんなもん似合っても全く嬉しくねぇよ!くそっ……なんでオレがこんなこと……」

 変態を直視したくないのと恥ずかしいのとでうつむき唇を噛み耐える。力を入れすぎて唇から血が出ているがそんなことより今はこの時間が早く終わることを願った。

「んふ、照れちゃってかーわいいのー。それじゃあこっち向いてー」
「は?」

 顔をあげた瞬間何かが光り、眩しさに目を細める。

「あーもうちゃんと目を開いてなきゃダメじゃないかーもう一回撮るよ?」
「何撮ってんだよふざけんなクソ変態がっ!!」
「だって折角の可愛いスバルくんのうさみみ姿だよ?ちゃんとデータで残しておかなきゃねー」
「ふっざけんな!!」
「だってスバルくんイタズラは嫌なんでしょ?だったらこれくらいいいじゃないか」
「く……っ」

 それを言われてはどうしようも無い。耐えるしか無いのか…と仕方なくカメラの方を向く。この変態後で絶対ぶん殴る……。

「んふ、ありがとう。これでまた一つボクの秘蔵のスバルくんコレクションが増えたよ
「じゃあさっさと出ていけ変態女装男」
「そういうワケにはいかないなぁ」

 にやりと笑いライトに手首を押さえられ、そのまま壁に押し付けられる。結局こうなるのかと舌打ちをしてライトを睨み付ける。

「スバルくんの血だってボクにとってはあまぁいお菓子だからね、だから吸っても良いでしょ、スバルくん?」
「良いわけねぇだろ離せ!!」
「んふ、良いのかなぁ?さっきの写真みんなにばらまいても」
「!!」
「嫌なら従えよ」

 笑顔の消えた顔でいつもより低い声でそう言うとまたいつものように気持ちの悪いにやけ面でんふと笑った。

「唇から血が出てるよスバルくん、そんなに恥ずかしかったの?唇から血が出るくらい強く噛んで耐えるなんて」
「んっ!!」

 オレの唇をペロリと舐めた後ライトの唇がオレのそれと重なる。ライトの舌を侵入させまいと唇閉じていたがそれを無理矢理抉じ開けライトの舌がオレの口内へと侵入してくる。

「……スバルくんの血の味と……キスの味と混ざって……最、高……」
「んっ…」

 逃げても逃げてもしつこくライトの舌はオレの舌を追ってきて強引に絡められる。抵抗しようにも酸欠寸前で体には力が入らずライトのされるがままだ。くそ、最悪だ……っ!!

「んふ、その屈辱を感じながら快楽に耐えるスバルくんの顔最高……可愛くて犯してぐちゃぐちゃにしたいくらい……じゃあ今度はこっちから……」

やっと唇が離れたかと思うと今度はオレの首筋に顔を近づける、このままだと首筋から血を吸われる、そう思い持てる力を全て出し抵抗する。あの写真をばらまかれるのも首筋にこいつの牙の痕をつけられるのもゴメンだ。

「あ、ちょっと、あんまり暴れないでよ、ちょっとスバルくん」

 片手の拘束がとけたのでそのままライトの手首にかけられたデジカメに手を伸ばす、これさえなければ……!!
 ライトからデジカメを奪いそのまま床に叩き付け、更に踏みつける、何度も何度も原型が無くなるくらいに。

「あーっもうスバルくん何するのさっああもうSDカードまで粉々!!ビッチちゃんの恥ずかしい写真までみんな消えちゃったじゃないか!!酷いよスバルくん!!」
「言いたいことはそれだけか?」
「ス、スバルくん、とりあえず落ち着こう?ね?その振り上げた拳も下ろそう?」
「黙れ変態!!」
「暴力反対!!」

 その後ぼこぼこにされ廊下に放置されていたライトをレイジが発見したのはその数時間後のことだった。




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