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 10月18日ーー……今日は忌々しい穀潰しの誕生日……。レイジはキッチンに立って一人黙々と食事の準備をしていた。祝う必要など本当は無いのかもしれない。しかしレイジにとって他の兄弟の誕生日を祝ってシュウの誕生日を祝わないということは何か自分のポリシーに反した。とは言え普通に祝う気など無いのだが……。

「何難しい顔して作ってるんだ……?」
「貴方の誕生日を祝うためのステーキですよ」
「毒薬が入ったように見えるけど……?」
「気のせいです。と、言うかいつもはただなにもしないで寝ているだけなのに何故今日に限ってわざわざキッチンまで来て私が料理をしているのを見物しているんですか?邪魔です」
「あんたがオレの為に料理作ってるってことが面白いからな……そんなに嫌なら作らなければいいだろ……?」
「それは私のポリシーに反しますから。ほら、出来ましたよ、さっさとテーブルについてください」

 禍々しい物へと姿を変えたステーキを皿に盛り付けシュウの前に置く。

「貴方の為に最高級のものを用意して私が丹精込めて作ったんですから残さず食べてくださいね」
「変色してるけど」
「文句があるのですか?」
「別に」

 シュウがナイフで切り分け、口に運ぶ。レイジはこのまま本当にシュウ死んでくれたらどれだけ嬉しいのだろうか……そんなことを思いながらシュウの向かい側に座りその姿を見ていた。

「うまい……流石レイジだな……」
「当たり前です。私が不味いものを作ったことがありますか?」
「そうだな、ありがとう」
「貴方にお礼を言われても嬉しくありません」
「相変わらず素直じゃないな、アンタは……」

 そうしているうちに皿は空っぽになり、シュウがご馳走さまと言いながら席を立つ。そのままレイジの方に歩み寄りレイジの頬にキスをして「御返し」とだけ言ってそのまま自室へと戻って言った。

「全く……気色の悪いことを……」

 そう呟きながらレイジもまた席を立ち、空っぽになった皿を持ってキッチンへと消えていった。








「ねえねえアヤトくん、あれどう見ても毒入りだったよねぇ?」
「でも美味しいっていってたぞ?」
「それも完食してました」
「んふ、愛の力って怖いねぇ。それに二人とも全然素直じゃないんだから」
「素直とかいう問題かよ……」
「でも面白いものが見られましたよ、ねえ?テディ」
「ほんとほんと、まさかシュウがレイジの頬にキスするなんてね……んふふ面白い二人だよねぇ」

 そんな風ににやにやしながら会話している三つ子がレイジに見つかって説教を食らったのはその直後のことだった……。




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