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「ううううう……」

 なにとは言わないけれどあの日、腹痛に呻きベッドで丸まっていると誰かが部屋の扉を叩く。起き上がる気力も無くて、はーい……と小さく返事をした。

「ビッチちゃーん、いるのー?」

 どうやらノックしたのはライトくんだったようだ。今はライトくんの相手を出来るほど余裕はない、後にしてもらおうと思っている間にライトくんは勝手に扉を開き、部屋の中に入ってきてしまったようだ。

「ビッチちゃーん?……ってなーんだビッチちゃんいたんじゃない。ボクを無視なんて……」

 あ、とライトくんがなにかに気づき、そのままベッドに腰かける。

「そういうことね、ビッチちゃん」

 そのままベッドで丸まる私の腰をぽんぽんと優しく撫でる。

「大丈夫、痛くない痛くない」
「ライトくん……」
「今はゆっくり休んで終わったらボクとイイコトシようね、ビッチちゃん?」

 ライトくんは女の子慣れしてるからこそなんだろうなとぼんやり思う。不思議と痛みが少し引いたような気がした。

「ありがとうライトくん、少し楽になったかも」
「どーいたしまして。んふ、お代は高くつくよ?」
「うん、後でね」

 そうして二人とも会話のないまま時間だけが流れる。腰を撫でるライトくんの手が心地よくて眠くなってくる。

「眠くなってきちゃったの?んふ、ボクの前で無防備に寝ちゃうなんて襲ってくださいって言ってるようなものだよ?」
「でも今こうして優しくしてくれてるし、今日はそんなつもりないんでしょ?」
「さてどうかなー?今そうやって恩を売っておいて後でその分すっごいことをさせる為かもね」
「仕方ないからあとで一つぐらいライトくんの言うこと聞いてあげる」
「んふ、約束だよ、ビッチちゃん?」

 そうして私の髪にそっとライトくんが口付ける。いつもからは想像もつかないぐらい優しく。

「今血を吸ったらビッチちゃん倒れちゃいそうだしこれで許してあげる。ボクってほんとにやっさしー」

 この後の事がほんの少し怖いけれど今はこのライトくんの優しさに甘えていよう……そうして目を閉じるとふわりとライトくんの匂いがしてなんだか安心して、そうして私は深いまどろみへと落ちていったのだった。



痛み止め
(それはまるで魔法のようで)



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