DL NL/ALL | ナノ



「ええっと……カナト……くん……で、いいのかな?」

 引きつった笑みを浮かべる彼女はいつものごとく教会が寄越した花嫁候補だった。
 彼女は最悪なことにボクと一緒に居ることを選び、さっきから一方的に話しかけてくる、目障りだしその汚らわしい声をこれ以上発さないで欲しい。

「こうなったのも何かの縁だしさ、ね、仲良くしようよ?」
「……るさいんですよ……」
「ん?ごめんよく聞こえなかったや…カナトくんもう一回言ってくれないかな?」
「うるさいんですよっ!!それ以上喋らないでくださいっさっきからあなたの声が耳障りなんですよっ!!」
「な……っ!!それは無いんじゃない!?」
「聞こえなかったんですか?もうそれ以上口を開くなって言ってるんですよっ!!」

 彼女が何かを言いかけて口を噤む。最悪だ、こんな人形にしても価値の無さそうな女と一緒にいなきゃならないなんて

「ねえテディ……この女、どうしようか?」
「そのクマちゃんテディって言うんだ、可愛いね?」

 そう言って彼女がテディに触れる。その瞬間何かがぷつりと音をたてて切れた。もう我慢ならない……!

「テディに触るなっ!!」
「もうっ何でそんなに怒るのよっ意味分かんないっ!!」
「何度言ったら分かるんですか……言っても分からないなら……体に教え込むしか無いようですね……ッ!!」

 彼女を押し倒し、首筋に牙を突き立てる、口に流れ込む血の味は悪くなかった。

「いや……っ!……やめ……!」
「んっ……もう何も喋らないでください、それ以上喋ったら喉元噛み千切って声を出せないようにしますよ?」
「はなして……いやっ……いやっ!!」
「……もういいです」
「?」

 その言葉を解放するというように解釈したの彼女が抵抗をやめる、やっと静かになった。

「もうあなたに付き合ってあげるのには飽きました」

 喉元に噛みつき、そのまま肉を噛み千切る

「丁度今お腹が減っていたところなんです」
「ーーっ!」

 声にならない叫びをあげ暴れ出そうとする彼女を押さえつける。

「あなたが悪いんですからね……?さて、次はどこを食べてあげましょうか……?」

 目を見開き涙をこぼしながら首を大きく振っている彼女を見下ろす。
 何をそんなに怖がっているんだろうか……人間なんて所詮餌でしか無いのに。

「いつもなら燃やしてしまうところ食べてあげてるんですから感謝してくださいね?」

 そう笑ってまた彼女の首筋に噛みついた――……












「あーあ、ボクらだって血を飲みたかったのにカナトくんは酷いなー肉食べた挙げ句残骸は燃やしちゃうなんてさ」
「ちっあとでちょっと味見してやろうと思ってたのによ、興醒めだぜ」
「所詮その程度だったって話ですよ。それ以上文句を言うなら燃やしますよ?」

 文句を言う兄弟達を横目にテディを抱き締める

「ねえテディ、いつかボクの特別になれるような花嫁候補が来るといいね」

 そう笑いかけながら





君じゃない
(愛してもらえると思ったの?)



prev / next

[ ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -