「鬼道さんのうなじいいにおいするね」
「!?」
「ミントっぽい。どこのシャンプー使ってるの?」
「…あ、ああ(近い…)、そんなもの知るか」
「え、意外。自分のシャンプーは把握してそうなのに」
「俺は女じゃないぞ」
「女より睫毛長いのにねぇ…」
「…何だその目は」
「いやあ世の中は理不尽だなあと思ってね」
「意味がわからん」
「……鬼道、さん」
「…何だ」
「……」
「(…何なんだこの沈黙は……)」
「………わたしさぁ」
「……ああ」
「睫毛短いし、シャンプーもばっかり気にしているような、バカな女だけど」
「? ああ」
「…嫌いにならないでよね」
「! ……当たり前だ」
むしろそれはこっちの台詞だ。俺は自分のシャンプーも把握していないような、男だが、嫌いになってくれるなよ。
と、素直に言えない俺だが、これからも好きでいてくれないか。
/ぜんぶ独り言