Straight To Video | ナノ
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入室すれば名前を迎え入れたのは、液が満たされ陳列する筒状のケースに浸けられ飾られる奇怪な赤い花々。
「それで、何の用かしら?」
名前が電話を掛けた相手であり、要件を五分以内に収めるのなら会うという条件で、椅子に艶めかしく妖艶に足を組んで掛けるのはエクセラ。
そして名前が事前にワンピースの裾で血を拭って持ってきたカプセルを渡した瞬間、彼女は怪訝な顔をした。
「……見たところ発信器みたいだけど、あなたこれどうしたの?」
『ベ、ベッドの上で見つけました』
「あぁ、そう」
名前は思わず俯いた顔を上げてエクセラを見た。咄嗟とはいえ、あからさまな嘘にねちっこい嫌味を飛ばされると思いきや、真意はわからないがエクセラはというと「知ってる」と言いたげな顔で名前に澄んだ笑顔を向けている、お咎めなしだ。
『……あ、あの、変な話…もし私にもこれが入ってるとしたらいくつあると思いますか?』
「そうねー、心臓にあれば十分だから余程のことがない限りは一つだけじゃないかしら」
『……』
―――――お前に発信器を仕込んでおいたのは正解だったよ
発信器、心臓、エクセラの言った単語にウェスカーの記憶が重なる。もしかしたら…。
「ねぇ、あなたこのことはアルバートには伝えたの?」
『…いいえ、その場にあの人は居なかったので私は何も言ってません』
「そう…。まぁ考えてみればそうね。………あら、私もう行くわ」
時計を一目見るとエクセラはデスクに置かれたアタッシュケースを手に取ると立ち上がった。
「とにかく変な気起こさないで大人しく部屋に戻って彼を待ってることね」
エクセラ浮かべたのは言葉とは不適な含みを持った笑み。
部屋に残るは名前一人。
『……』
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