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日の光も差し込まないような鬱蒼とした森。水分を含んだ木や草が生い茂るじめじめとしたそこに、一族のみ入る事の出来る隠れた里があった。里の入り口には特殊な結界が施されており、妖狐以外がそこへ来ても只の祠にしか見えない。

そんな閉じられた空間の中で、1匹の女狐が6匹の子を産んだ。妖狐は普通、真っ白な美しい毛並みを持って産まれてくるのだが、6匹の内のただ1匹だけが、闇のような漆黒の毛並みを持つ……里で忌み嫌われる黒狐だったのだ。

数百年に1度有るか無いかの出来事に、里の者達は動揺した。黒狐は、古来より里に災厄を招くと言われ、更には普通の妖狐よりも能力が優れるという厄介な存在として扱われてきた。


そんな黒狐が辿る道は、決して幸せなものでは無かった。



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