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天高くそびえる霊山、犬神山。
その名の通り、その山には犬神と呼ばれる一族が住んでいた。彼らの頂点には霊王という、神にも等しい存在の犬神がおり、忠誠心の強い彼らは、常に霊王の為に尽くしていた。
そんなある日、山に悲しみが訪れる。霊王が死んだのだ。一族は霊王の前に集い、深く冥福を祈った。
その時、霊王の体から黄金の光が溢れ勢い良く空へ舞い上がると、山の麓の村へと飛んで行った。それが何を意味するのか、犬神達は分からなかった。
だが只一人…族長の夢告は、一つの仮説に辿り着いた。
霊王は、何かに転生なさるつもりではないか、と。
何か…そう、例えば人の子に
もしそうだとしたら、転生体の身は犬神一族で守らなければならない。霊王の魂を受け継ぎし者は、一族の指導者になる者であるのだから。
犬神山の麓の村で、一人の娘が生まれた。
名は、姫宮
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