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サイが言うと、天照は感謝します、と頭を下げる。

「黄泉の討伐や怪我人の手当て…どこにおいても手が必要です」

「なら、私は怪我人の治療に当たらせて下さい。黨雲様も、忙しいのでしょう?」

姫宮の治癒術の実力を知る天照は、ならば姫宮は治療に当たってくれと、任せた。

「俺は黄泉んとこに行きてぇ。サザンカさんを探したい」

「私も、出雲を捜索する手伝いをしたい。可能だろうか」

焔伽と綺羅は、師の身が心配で居ても立ってもいられず、訴えるように天照に告げる。

「分かりました、ではそなたらは捜索の手伝いを」

「なら、俺達は討伐を手伝う」

サイや雫鬼、アカネは討伐を買って出る。天照は受け入れ、頷いた。

「愁麗を攫う際、黄泉は朱雀門から侵入したようなのです」

覇王が門番を務めていた朱雀門には、今門番がいない。護りが他よりも薄いのは明白だ。

「焦って出ることはありませんが、必要な時に出向けるよう、準備をしておいて下さい」

天照は再び、サイ達に部屋を貸し与えた。今度は全員同じ屋敷のようだ。必要時以外は、部屋で休んでいて構わないと言う。

「黄泉の襲撃にも波がある。常に攻め込んで来る訳ではないのでな。常に気を張る必要はない」

サイはわかったと言い、屋敷の場所を月読に聞きに行った。

「俺はすぐに出たい、いいか?」

焔伽の意見に、綺羅も頷く。一週間も陰の世界で行方が分からないなど、どんな目に合っているか分からない。知ってしまった以上、胸騒ぎが静まるはずもなく、すぐにでも師を探したいのだ。

「…分かりました。気をつけて下さい」

「僕も行くよ」

影熊も捜索に付いていくと言い、綺羅を見る。綺羅が頷くと、影熊は微笑んだ。

「綺羅の師って、ちょっと興味もあるしね」

「無事でいてくれるといいのだが…」

祈るような綺羅の呟きは、広間に消える。
場所を聞いたサイは仲間を見、頷いた。

「とりあえず、部屋に行こう。そこからどうするかは、各自に任せる」

「わかった」

アカネはそれでいいと賛同し、仲間も頷く。天照に部屋に行くと伝え、サイ達は広間を後にした。
残された天照は祈るように手を握る。月読は腕を組み、ため息をついた。

「黄泉の目的は…何なのでしょうか」

「分かりません…今はただ、皆の無事を祈るのみです…」

再び高天原にやって来た光を信じ、天照は黄泉の目的と、愁麗を救う手立てを考え始めた。



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