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「ありがとうございます…!」

「うん、助かるよ!」

笑顔になり喜ぶ二人に、雫鬼は気恥ずかしいのか視線を泳がせる。

「貴方が共に来てくれるなら…安心します」

「…そうか」

優しく微笑む姫宮と、困り笑いを浮かべる雫鬼を交互に見、アカネは口元が緩みそうになりながら何度か小さく頷いた。
この三年の間に、この二人も随分打ち解けたようだ。強い信頼関係で結ばれている様子に、アカネも嬉しくなる。

「アカネ?どうしました?」

「え?!ああ、何でもない何でもない!…サイ達と合流するから、準備が出来たらすぐに行こう」

三人はその後屋敷に戻り、アカネは預けていた武器を受け取った。姫宮が夢告に事情を説明している間、雫鬼とアカネは屋敷の外で待っている。
姫宮を心配する夢告とまた長く討論しているようだが、姫宮は絶対に来るだろう。
しばらく待っていると、思った通り姫宮はやって来た。見送りに来た夢告は浮かない表情だ。

「どうか、お気をつけて」

「はい。また留守をお願いします」

心配気に姫宮を見つめ、夢告は頷く。しゅんと耳と尻尾を下げる犬のようなその姿に、アカネは微笑んだ。

「安心して夢さん!ひめは絶対無事に送り届けるから。あと、次はお土産持って来るから楽しみにしてて!」

「余計なお世話だ」

「また夢さんが出迎えに来てよね」

「…!…な…なんの話だ」

呆気にとられたように目を見開き、明らかに動揺している夢告を見て、アカネと姫宮は笑う。
やがてアカネは手鏡を取り出し、サイの元へ行きたいと願いながら、そっと触れる。
アカネの姿を映していた鏡は光りだし、それを確認したアカネは頷いた。

「じゃあ、いこっか」

雫鬼と姫宮を先に光に入れ、アカネも後に続く。
夢告は三人を飲み込んだその光が消えるまで、じっと見送っていた。



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