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「救いを求める手を払い、消滅までさせるたぁ、神サマは思った以上に過激なこった」

「黄泉の事情なんかウチらは知らん。襲い来ると思うたら戦うのが普通やろ」

「だったら、これからは?黄泉が天照に救いを求め陽に向かうと知ったお前は、これからどうすんだァ?知って尚、切り払うのか?絢ァ」

絢鷹は目を見開く。
この黄泉は完全に絢鷹を洗脳しようとしている。迷いを抱かせ、陽に混乱を招こうとしている。

「…天照に会うことが目的なんか」

「目的のひとつではあるな。本当の望みはまた別のところにあるが…それは俺様の口から語ることじゃねぇ。だが、雑魚黄泉の願いは大半天照だろうよ」

煮え切らない言い方のいろはに、絢鷹は苛立ち眉を側める。

「…悪いが、願いを知ったからと言って見逃す事は出来ひんな。神であると同時にウチは軍のモンや。その命令には従う」

排除しろと命じられたなら、排除するまでのこと。
そこには私情や情けなど必要ない。

「ぶはははっ!神サマってのは自分の意思すらねぇのか。黄泉ですら自らの意思に従い動いてるってのに」

「安い挑発には乗らんで」

絢鷹は表情を動かさないまま言う。

「俺様は神は嫌いじゃねぇ。同胞を手に掛ける事は許せねぇがなぁ。それでもお前らには魅力があんだよ」

いろはは食えない奴だが、相変わらず殺意はなさそうだ。
絢鷹はいろはから色々な情報を抜き出せるのではないか、そう思った。現に黄泉の目的のひとつが明らかになった。
天照に報告すれば、天照が自ら何か策を講じるかもしれない。

「こうして神と意思疎通出来てることも、俺様にとっては嬉しいことなんだぜぇ?今までは言いたいことも言えなかったからなァ」

「…そうか」

絢鷹は構えたままにしていた武器を仕舞う。それを見たいろはは口元に笑みを浮かべた。

「話をする気になったかぁ?」

「お前から抜き出せる情報もありそうやからな。利用するだけや」

絢鷹は岩から飛び降り、いろはに近づく。いろはは情報を漏らすことに抵抗がないのか、余裕気に笑った。

「はっ、どーぞご自由にー」





話をする二人を、離れた場所から監視する影があった。
黄泉と神のやり取りを見ていたのは、忍装束を着た二番隊の隊士のようだ。
視線は二人を捕らえたまま、口を開く。

「裏切り者確認。二番隊隊長、絢鷹」






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